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国土交通省が子育て世帯を主な対象に提供してきた「こどもエコすまい支援事業」は2023年に終了し、2024年からは「子育てエコホーム支援事業」と名称を変えてリスタートしました。この制度を利用することで、省エネやバリアフリー、家事の効率化などを実現する住宅の新築・リフォーム費用に対して補助を受けることが可能です。
本記事ではこの「子育てエコホーム支援事業」の制度の概要や対象者、補助対象になるリフォーム事例などについて紹介します。費用負担を抑えつつリフォームをしたいと考えている方は、ぜひご参考にしてください。
目次
子育てエコホーム支援事業とは、エネルギー効率の高い住宅を新築ないしはリフォームへの支援を通して、2050年のカーボンニュートラル実現を目指す国の取り組みです。
新築住宅は、「注文住宅の建築」と「新築分譲住宅の購入」のどちらも補助対象になります。新築の補助を受けられるのは、18歳未満の子どもを持つ世帯、または夫婦のうち一方が39歳以下である世帯です。ただし、リフォームに関しては、上記の子育て・若者夫婦世帯以外も利用できます。そのため、「子育てエコホーム支援事業」という名称ながら、実際には幅広い家庭が支援を受けられるのが特長です。
※この事業は2023年に終了した「こどもエコすまい支援事業」の後継にあたります
本記事では、この子育てエコホーム支援事業について、特にリフォーム面での情報提供を行います。
■参照:2024年キャンペーン子育てエコホーム支援事業(国土交通省)
リフォームで補助金を利用するための基本条件は二つあります。
1.リフォームする住宅の所有者等であること
この「所有者等」とは、住宅を所有して居住する個人や家族、賃貸に供する個人または法人、賃借人、共同住宅の管理組合などを指します。
2.子育てエコホーム支援事業に登録している工事施工業者と工事請負契約を締結し、リフォーム工事を行うこと
登録された業者との契約を通じて、支援事業の基準に沿ったリフォームを行う必要があります。
リフォームの補助金上限は、条件によって変わります。基本の補助金額は、子育て世帯・若者夫婦世帯の場合で30万円、それ以外の世帯の場合で20万円が上限です。ただし、以下の条件を満たす場合は上限額が60万円まで引き上げられます。
(1)以下のどちらかの条件を満たす世帯
・2005年4月2日以降に生まれた子どもがいる世帯(2024年3月31日までに着工する場合は2004年4月2日以降で可)
・夫婦どちらかが1983年4月2日以降に生まれた世帯(2024年3月31日までに着工する場合は1982年4月2日以降で可)
(2)以下の条件を満たす工事
・自分で住むために購入した既存住宅をリフォームする工事
なお、(2)を認められるためには、以下の条件を全て満たすことが必要です。
・不動産の売買費用が100万円(税込み)以上
・不動産売買契約の締結が2023年11月2日以降
・リフォームの工事請負契約の締結が不動産売買契約の締結から3カ月以内
補助金の支給対象となるためには、指定されている「必須工事」を実施することが必要です。それ以外の工事(任意工事)に関しては、必須工事と同時に行う場合のみ補助対象になります。また、補助対象になるのは、必須工事と任意工事の合計費用が5万円以上の場合のみです。以下では、必須工事と任意工事それぞれの具体例を紹介します。
必須工事として指定されているのは、以下のような工事です。制度を利用するには、このどれかの工事を実施する必要があります。
【必須工事】
(1)開口部の断熱改修
(2)外壁、屋根、天井、床の断熱改修
(3)エコ住宅設備の設置
エコ住宅設備の具体例は、以下の通りです。
・太陽熱利用システム
・節水型トイレ
・高断熱浴槽
・高効率給湯器
・節湯水栓
・蓄電池
上記のように、エコ住宅設備としては水回りが多くなっています。
■参照:子育てエコホーム支援事業【公式】(エコ住宅設備の設置)
必須工事と同時に行う場合に限り、以下の任意工事に関しても補助対象になります
・子育て対応のためのリフォーム(※1)
・防災性向上のためのリフォーム
・バリアフリー対応のリフォーム(※2)
・空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
・リフォーム瑕疵保険への加入
※1 家事負担軽減に役立つ工事が対象になります。具体的には、浴室乾燥機や掃除しやすいレンジフード、ビルトイン式の食洗器や自動調理対応コンロの設置などが対象です。設備の種類に応じて、最大2万3000円の補助を受けられます
※2 具体例としては、手すりの設置、廊下などの幅の拡張、衝撃緩和畳の設置(4.5畳以上の設置に限る)、段差解消のためのリフォームなどがあげられます。工事の種類に応じて、最大2万8000円の補助を受けられます
■参照:
子育てエコホーム支援事業【公式】(子育て対応改修)
子育てエコホーム支援事業【公式】(バリアフリー改修)
子育てエコホーム支援事業は、2024年(令和6年)4月2日より交付申請を受け付けています。制度利用の一般的な流れは以下の通りです。
【申請の流れ】
1. リフォーム工事請負契約の締結
2. リフォーム工事着手
3. 予約申請(交付申請予約の場合)
4. リフォーム工事完了
5. 交付申請
6. 交付の決定
7. 補助金交付
申請作業は工事事業者(施工業者)が行うため、リフォーム工事請負契約の締結以後、依頼主(工事発注者)が行うことは特にありません。補助金は施工業者に交付され、工事発注者に還元される仕組みです。なお、複数業者にリフォームを依頼する場合は、代表となる施工業者(1社)が全ての手続きと補助金の受領を行うことになるので、依頼主である発注者はどこに手続きをお願いするか業者と相談するようにしましょう。
子育てエコホーム支援事業の申請期間は、2024年4月2日~予算上限に達するまでです。最長で2024年12月31日まで募集を受け付ける可能性はありますが、実際にはそれより早く予算上限に達すると予想されるので、早めに申請することをおすすめします。例えば、前身の「こどもエコすまい支援事業」では、途中で予算を増額したにもかかわらず9月末で募集が終了となり、「間に合わなかった」という声が多数あがりました。なお、交付申請の予約は工事着工後から可能です。
リフォームに活用できる補助金制度は「子育てエコホーム支援事業」以外にもあります。経済的負担を抑えるには、できればそうした制度も併用したいところです。
しかし原則として、同じ補助対象に対して、国費が充当されているほかの補助制度を併用することはできません。逆に言えば、予算が国から独立している地方自治体などの補助制度であれば併用することが可能です。ただし、地方自治体の実施する制度の中にも、資金の提供元が国の予算というケースは多いため、併用にあたっては確認が必要です。
なお、事業主体が同じ国土交通省でも、以下の制度ならば併用できます。
・給湯省エネ2024事業
・賃貸集合給湯省エネ2024事業
・先進的窓リノベ2024事業
子育てエコホーム支援事業も含めて、これらはいずれも国土交通省が経済産業省および環境省と連携して主催する「住宅省エネ2024キャンペーン」に属す制度です。ただし、同じ補助対象に重複した支援を受けることはできないのでご注意ください。
■参照:住宅省エネ2024キャンペーン よくある質問(他の補助金との併用)
子育てエコホーム支援事業(旧・こどもエコすまい支援事業)を利用して行ったリフォーム事例を紹介します。どのようなリフォームに制度を活用できるのかご参考にしてください。
タイル張りの浴室からTOTO製のユニットバスへのリフォーム例です。リフォーム費用は94万円で、高断熱浴槽へリフォームしました。そのほか、節湯水栓や手すりの設置、段差解消など同じく補助金対象になるリフォームを複数行い、エコでバリアフリーな浴室を実現しました。
こどもエコすまい支援事業の対象商品の高断熱浴槽を設置しました
▶画像出典:「高断熱浴槽でこどもエコすまい支援事業補助金を利用」
掃除しやすい機能を持つトイレへのリフォーム事例です。29万円のリフォーム費用で、TOTO製の節水型トイレへの交換や内装のリフォームをしました。これにより、掃除は楽になり、内装も以前よりスッキリした見た目になりました。
こどもエコすまい支援事業の節水型トイレ(掃除しやすい機能を有するもの)と交換しました
▶画像出典:「こどもエコすまい支援事業補助金を活用した水周りリフォーム」
子育てエコホーム支援事業は、省エネ住宅を普及させることを目的にした国の補助金制度です。特にリフォームの場合は、子育て世帯や若者夫婦世帯以外も制度を利用できるので、幅広い世帯に利用をおすすめします。
この制度を利用して補助対象のリフォームを行うことで、最大60万円までの補助を受けることが可能です。快適で環境に優しい住まい作りを目指して、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
■監修: 髙野 友樹 不動産コンサルタント
これまで、不動産業界に10年以上従事してきて、現在は不動産コンサルティング事務所の代表を務める。 個人の方の土地売買仲介から、不動産ファンドでの投資家への資産運用を行うアセットマネジメント業務まで、幅広く経験。 これまでの経験を活かし、現在「不動産・税金・建築・投資」等のテーマを中心に、 複数のWEBメディアで監修や執筆を担当。個人・法人の契約書作成等も代行している。
【所有資格】公認 不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士
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※2023年4月~2024年3月
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