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日本の家には、どのような屋根があるのでしょうか。 「日本家屋でよく見られる『瓦(かわら)屋根』、横長の化粧スレート板を敷き詰める『スレート屋根』、そしてガルバリウム鋼板、ステンレス、アルミなど金属板を用いた『金属屋根』がよく用いられています。 構造はどれも同じで、下地となる野地板の上に防水シート(ルーフィング)を張って雨水の侵入を防ぎ、一番外側に屋根材を重ねます」(江原さん、以下同) それぞれの屋根材によってメンテナンス方法が異なるそうですが、一般的にどのような方法が行われるのでしょうか。 「どんな屋根でも主な施工方法は、3種類です。色を塗りなおす『塗装』。既存の屋根の上から、新しいものをかぶせる『カバー工法』。そして、既存のものをすべて取り替える『葺き替え(ふきかえ)』です。工法や屋根材によって耐用年数は異なるので、業者と相談して決めたほうがいいでしょう」 家全体を守る屋根だからこそ、その特性と施工内容をきちんと理解して、工事を進めたいところ。各屋根材に用いられる工法について江原さんに解説をしてもらいました。
「粘土を成形して焼いた陶器の瓦は、耐用年数も屋根材の中で最長です。破損した瓦を取り替える際以外は、風や地震で瓦がずれてしまったときに、既存の瓦を再利用して葺きなおす『締め直し』を実施します。 一方で、下に敷かれた防水層は瓦よりも経年劣化が著しいため、瓦を外して定期的なシートの張り替えが必要です。葺き替えは30~35年間隔でもよいですが、他のメンテナンスと併せて、10年に一度はチェックをしたほうがよいでしょう」 ・化粧スレート屋根…アスベストが含まれているかで対応が変わる
「軽量で豊富なデザインから、採用件数が多い化粧スレート屋根。 瓦に比べて耐久性が弱く、防水シートと同じタイミングで劣化するため、葺き替えなどの補修工事が必要になります。また、表面の塗装は変色・劣化するため、築10年ほどで塗装メンテナンスも視野に入れたほうがよいでしょう」 スレート屋根ではカバー工法も多く採用されると聞きます。なぜ、この手法を取るケースが多いのでしょうか。 「カバー工法は、葺き替えと同程度の耐用年数を発揮する主流の工法です。また、2004年以前に施工された家は、現在使用禁止のアスベストを含むものを使用している場合があり、アスベストを近隣に拡散させないための養生や、除去したものの処理に余分な費用がかかるため、既存のものにかぶせるカバー工法を用いることが多く採用されます」
・金属屋根…最も軽量で防水性が高い 「金属屋根は、屋根材の中で最も軽く、防水性が高いのが特徴です。近年施工するものは、ガルバリウム鋼板が主流となり耐久性が向上しました。 スレート屋根と同じく屋根材が劣化する前に、再塗装を施して耐用年数を伸ばすことが可能です。劣化状態は、その都度確認しないとわからないため、定期的なメンテナンスを心がけたほうがよいでしょう」
屋根は自分で確認できないため、工事は施工会社に一任しなければなりません。どのような点に気をつければよいのでしょうか。 「一例として申し上げると、屋根の状態や各工程の様子を、写真で確認させてもらうといった対策があります。また、複数の施工会社に相談する場合は、提示された見積り額も大事ですが、書面に記載された作業工程を見比べてください。 以前相談を受けた例ですが、工事が早期に終わったので不思議に思い、再度工程表を確認したところ、防水シートの交換が含まれていないことが判明しました。施工業者によって工法は異なるため、単に合計金額が高い・低いだけではなく、見積り金額の内訳がどのような工程を示しているのかを、依頼主側が見極める必要があります」 大がかりな工事となるため、なかなか重い腰を上げられない屋根のメンテナンス。しかし、早めの対応こそが、家の寿命を延ばすことにつながります。だからといって、施工に焦りは禁物。きちんと工事の段取りや金額を検討して、安心できる業者に工事を任せましょう。
(取材・文:小林有希 編集:ノオト)
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