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住まいの印象を左右し、建物を守る役目をもつ屋根。美観と快適な暮らしを維持するためには定期的な点検とリフォームが必須です。本記事では、屋根を塗装するリフォームについて、メリット・デメリット、塗料別の耐用年数、リフォーム費用の相場などを一級建築士の佐川旭さんに教えていただきました。
目次
(画像/PIXTA)
住宅の屋根は、常に雨風や紫外線にさらされるため傷みやすい部分です。しかし、屋根の上は見えにくいので、雨漏りが発生したり、屋根材が風で飛んだりしないと、傷みや不具合に気が付かないかもしれません。
「日常生活で不具合を感じなくても、屋根の定期的な点検は大切です。点検のタイミングは屋根材より変わりますが(下表参照)、きちんと点検して、そのときの状態に合わせたメンテナンスを行うと、耐用年数まで持たせられるでしょう。
もしメンテナンスを怠ると、屋根材の耐用年数前に不具合が生じたり、屋根材の下にある野地板に水が染み込み建物が傷んだりする可能性があります」(佐川旭建築研究所 佐川旭さん。以下同)
【屋根材の種類別 点検・メンテナンスの時期と耐用年数】
屋根材の種類 | 点検・メンテナンス周期 | 耐用年数 |
スレート | 7~8年 | 25~30年 |
ガルバリウム鋼板 | 10~15年 | 30~40年 |
日本瓦/陶器瓦(釉薬あり) | 15~20年 | 50~60年 |
日本瓦/いぶし瓦(釉薬なし) | 15~20年 | 50~60年 |
セメント瓦 | 15~20年 | 20~30年 |
アスファルトシングル | 15~20年 | 20~30年 |
トタン | 7~10年 | 15~20年 |
屋根の点検とは、どのようなことをするのでしょうか。
「屋根に上がり、屋根材にさびやコケなどが生じていないか、割れやずれがないかをチェックします。屋根材がスレートやアスファルトシングルなら、屋根材のつなぎ目に劣化が見られないかも確認します。
同時に室内からの点検も行います。天井の点検口から小屋裏をのぞき、雨漏りをしていないか、湿気による染みがないかをチェックします。
一般の人が屋根に上るのは危ないですし、小屋裏の染みなどを見つけるのは難しいので、家を建てた建築会社やリフォーム会社などのプロに依頼しましょう」
(画像/PIXTA)
屋根のリフォームには、主に3つの方法があります。
屋根材を塗り替え、塗膜により表面をコーティングします。塗料にはさまざまな種類がありますが(後述)、高性能塗料を選べば防汚性や遮熱性が付加され、屋根材自体の耐久性を維持できます。
「屋根材にひび割れなどの傷みがなく、さびや色あせ程度の修繕には塗装を選択することが多いです。ただし、塗装を繰り返すと塗膜が厚くなり、厚さが増すとひび割れが生じ、そこから塗膜がはがれると性能が確保できなくなります。したがって、塗装は3度までが限度となります」
今の屋根材の上から新しい屋根材を被せて施工する方法で、重ね葺きとも言われます。スレートやアスファルトシングルなど、屋根材の形状が平らで軽量の場合はカバー工法が選択しやすくなります。
「カバー工法は、二重屋根の状態をつくり出すため、屋根自体の断熱性がアップする利点もあります。さらに、雨漏りを防ぎやすくなり、元の屋根材も廃棄処分費がかかりません。
ただし、カバー工法は新しい屋根材の重量が構造に負荷をかけてしまい、耐震性が低下する可能性があります。今の屋根材がセメント瓦や粘土瓦など重量がある場合は、カバー工法ではなく葺き替えを選択するケースが多いです」
今の屋根材やルーフィング(防水シート)ごと交換し、屋根全体を一新する方法です。
「屋根材を取り除くことで、屋根材を敷いている野地板の状態を点検できるのは大きな利点です。屋根の上から見ると問題がなくても、屋根材の少しのずれや小さなひび割れにより、野地板まで水が染みていることがあるからです。
野地板は合板が使用されているケースが多く、長期間水にさらされると反ったり腐ったりすることがあります。野地板の状態によっては、屋根材と一緒に野地板を変えておくことで雨漏りの発生を防げます。
さらに、葺き替えの際に、ガルバリウム鋼鈑のような軽い屋根材を選べば、構造への負荷が減り、建物の耐震性をアップできます」
(画像/PIXTA)
屋根リフォームの方法は、屋根の状態と屋根材の耐用年数、住む人のライフサイクルを考慮して選択しましょう。
「10年ごとに点検し屋根材に破損がなければ塗装を選択してよいと思いますが、屋根材の耐用年数を考慮すると、3度目は塗装でなくカバー工法か葺き替えを選択することになります。
住む人のライフサイクルとは、『あと何年この家に住むのか』を考えるということです。戸建住宅の維持にはお金がかかり、年金生活になったら屋根リフォームの費用を捻出するのも大変になるかもしれません。
例えば、20年程度住むなら、高性能塗料で塗装して塗装の回数を1回減らす方法もあります。30年以上住むなら、耐用年数が長い屋根材で早めに葺き替えを行ってしまうという方法もあります。
屋根リフォームに余計な手間やコストをかけないためにも、先々の計画を立てたうえで方法と実施時期を選択したいですね」
(画像/PIXTA)
カバー工法や葺き替えと比較したとき、塗装リフォームにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
最大のメリットは、リフォーム工事の期間が短く、費用も安く済む点です。また、費用は若干高くなりますが、高性能な塗料を使用すれば、遮熱・断熱性能を確保できたり、汚れが付着しにくいなどの効果が得られたりします。
塗装リフォームは屋根の表面に塗膜を施すだけなので、屋根材自体の劣化の補修は行いません。費用はかかりますが、必要に応じて塗装の前にパテやコーキングなどで補修を依頼した方が雨漏りを防げるでしょう。また、塗料の種類によっては10年未満で再度塗装が必要になります。
(画像/PIXTA)
屋根の塗装リフォームの費用は、塗料の種類と、施工内容などで変わります。
主な屋根用塗料の種類別に見る、耐用年数と1㎡当たりの材料価格は下表のとおりです。
屋根材の種類 | 耐用年数 | 1㎡当たりの材料価格 |
アクリル | 5~8年 | 1500~2000円 |
ウレタン | 8~10年 | 1500~2500円 |
シリコン | 10~15年 | 2000~3500円 |
フッ素 | 15~20年 | 4500~5500円 |
ラジカル | 20~25年 | 3000~4500円 |
※2024年2月時点の目安価格
「屋根塗装リフォームでは、比較的価格の安いウレタンが使われるケースが多く見られますが、耐用年数は10年程度とあまり長くありません。ただし、他の塗料の耐用年数でも20~25年が限界で、30年は持ちません。
私がおすすめするのはシリコンです。シリコンが、コスト、耐用年数、耐水性や防汚性などの性能のバランスが最もよいと思います」
屋根の塗装リフォームで行う施工内容別に見る、施工単価の目安は下表のとおりです。
施工内容 | 1㎡あたりの施工単価 |
塗装(手間施工費) | 1000~2000円 |
仮設足場の設置 | 700~800円 |
屋根足場の設置 ※必要に応じて | 800~900円 |
養生(メッシュシート張り) | 300~500円 |
施工箇所の洗浄(高圧洗浄) | 100~500円 |
タスペーサー工法 | 300~500円 |
※2024年2月時点の目安価格
「施工費が大きく変動するのは、屋根足場をかけるか・かけないかという点です。勾配が3/10~4.5/10程度の屋根なら屋根足場は不要ですが、それ以上の勾配なら職人さんの安全確保のために屋根足場は必要です。
外壁をぐるりと囲む仮設足場の設置は、屋根リフォームだけでも工事の安全基準として義務付けられています。せっかく仮設足場を設置するなら外壁の塗装も一緒に行おうかな、と検討する人はとても多いです」
ちなみに、タスペーサー工法とは、塗装をする前に、屋根材が重なっている部分にタスペーサーというパーツを挟み入れることで隙間をつくる工法です。隙間によって通気性を確保でき、雨水の流れがつくれるため雨漏りを防ぎやすくなります。
「以前は、塗装後に塗膜が乾くのを待って、乾いたらカッターなどで切って隙間をつくる『縁切り』という作業をしていましたが、最近ではタスペーサー工法が主流になりました」
では、屋根塗装リフォームの費用の目安はどのくらいになるのでしょうか。
「延床30坪で屋根面積55~64㎡程度の勾配が緩やかな屋根を、シリコン塗料で塗装した場合、リフォーム費用は30~40万円が目安になります。屋根と一緒に外壁も塗装するなら120~130万円程度になるでしょう」
(画像/PIXTA)
屋根塗装リフォーム費用の目安は、以下を参考にすれば自分で計算することも可能です。
【塗料の費用(材料費)】
・屋根面積×塗料の材料価格
【施工費】
・屋根面積×(塗装+高圧洗浄+タスペーサー工法)
・仮設足場面積※×仮設足場の設置費 ※仮設足場面積は外壁面積×約1.5で算出
・必要に応じて、屋根面積×屋根足場の設置費
「建物や屋根の形状によって差はありますが、35坪の住宅なら屋根面積は65~74㎡程度です。外壁面積は130~140㎡で仮設足場面積が195~210㎡となります。
自分で計算して費用の目安が分かれば、リフォーム会社からの見積もり内容に対して質問しやすくなると思います。ただ、塗装回数が2回か3回か、屋根材の補修を行うかなどで金額は変動するので、見積もり金額の高い・安いにとらわれ過ぎず、内容をしっかりと説明してもらいましょう」
(画像/PIXTA)
屋根塗装のリフォーム費用に対し、補助事業を実施している自治体は数多くあります。その一例として、2024年度に実施している事業をご紹介しましょう。
■東京都品川区
「住宅改善工事助成事業」として、既存住宅に対し遮熱性塗装を行うリフォームを実施した場合、上限20万円まで補助が受けられます。
<詳しくはこちら>
住宅改善工事助成事業(エコ&バリアフリー住宅改修)
■大阪府摂津市
「摂津市多世代同居・近居支援事業」として、摂津市内で新たに同居・近居するために、子世帯または親等が、既存住宅のリフォーム工事を行った場合、上限25万円まで(住宅リフォームに要した経費の2分の1まで)補助が受けられます。
<詳しくはこちら>
住宅リフォーム補助金
■千葉県我孫子市
「我孫子市住宅リフォーム補助金制度」として、我孫子市内に個人住宅を所有しており、リフォーム工事後10年以上の定住の意思がある人が、外壁や屋根の塗装工事などを行った場合、上限20万円まで補助が受けられます(子育て世帯は上限額が30万円)
<詳しくはこちら>
我孫子市住宅リフォーム補助金制度
補助事業は、自治体により補助要件や申請方法、補助金額が変わります。また、年度ごとに申請受付の締切日が設定されていますが、予算に達すると締切日より前に受付を終了するケースが一般的です。
補助金を利用したいと考える人は、事前に補助要件や申請状況などを自治体のホームページでチェックしておきましょう。
ここでは屋根塗装のリフォーム事例を5件紹介します。リフォーム内容と費用の参考にしてください。
台風で雨どいが壊れたのを機に、家全体の雨樋交換と外壁・屋根塗装リフォームを行いました。屋根の色は、外壁の濃いブラウンとの相性を考えてブラックに。塗料は汚れが流れやすい艶ありを選択されました。
■リフォーム前
経年劣化により全体的に色が白っぽくなっていました
■リフォーム後
汚れが流れやすい艶ありの塗料を使用、美観の耐久性が望めます
事例の詳細:お家のイメチェン!シックに変身しました
瓦や外壁に劣化が見られ、見栄えも悪くなったため屋根の補修・外壁リフォームを検討。屋根を調べてもらったところ瓦に割れが見られましたが、葺き替えるまでではなかったため、部分取替及び修繕をしたうえでシリコン塗装を実施しました。
■リフォーム前
一部分の瓦に割れが見られました
■リフォーム後
割れた瓦の取り換えや修繕を行い、シリコン塗料で塗装をしました
事例の詳細:すっかり見違えた我が家!
外壁と屋根の塗装リフォームです。屋根の塗料には遮熱性の高いフッ素塗料を選択。下塗り2回、上塗り2回の計4回塗り施工により、美観と性能を確保しています。
■リフォーム前
経年劣化による色あせが目立ちます
■リフォーム後
塗装前の下地処理も念入りに行うことで、雨漏り対策も万全に
事例の詳細:アステック遮熱防水プラン
折板屋根の塗装リフォームです。全体的にさびが目立つため、塗装をする前に汚れやさびを落とすケレン作業を丁寧に実施しています。樋のまわりの清掃塗装も同時に行いました。
■リフォーム前
元は茶色の屋根でしたが、表面の塗装は剥げてしまっています
■リフォーム後
しっかりさびを落としてから、グレー色に塗装しました
事例の詳細:折板屋根塗装替工事
築10年を過ぎて汚れや色あせが目立ってきたため、塗装リフォームを実施。アスファルトシングル屋根は性質上色むらが起こりやすいので、専用のシリコン塗料を使用。塗りムラに留意しながら丁寧に仕上げられています。
■リフォーム前
色あせの他、北側には多少の苔汚れがありました
■リフォーム後
つや消しの落ち着いた仕上がりになっています
事例の詳細:アパートの外装リフレッシュ工事。~新築のようになりました~
(画像/PIXTA)
住宅の性能と美観を維持するために、屋根や外壁の定期的な点検・メンテナンスや、状態に応じたリフォームは非常に大事です。
「外壁は汚れや傷みが目に付きやすいですし、サイディングや吹付け仕上げなら触ると手に白い粉が付く『メンテナンスのサイン』が出るため、リフォームのタイミングが分かりやすい部位です。
一方、屋根は見えない部分が多いため、状態が分かりにくい部位です。しかし、外壁より屋根の方がダイレクトに雨水や紫外線を受け止めているため、優先的に点検・メンテナンスを検討すべき部位なのです。
建物を長持ちさせるなら定期的に屋根を点検し、屋根の状態や屋根材の耐用年数、建物のライフサイクルを考慮したうえで、適した方法でリフォームを行いましょう」
・取材協力
佐川 旭さん
佐川旭建築研究所代表。一級建築士、インテリアプランナー。間取り博士とよばれるベテラン建築家で、国内外を問わず、住宅やリフォーム、公共建築、街づくりまで手がけている
・取材・文
山南アオ
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利用者数
※2023年4月~2024年3月
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