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マンションのリノベーションの魅力とは? 人気の間取り・アイデアを紹介! 費用相場や注意点、減税制度・補助金もわかりやすく解説

  • 最終更新日:2023-09-15

マンションのリノベーションの魅力とは? 人気の間取り・アイデアを紹介! 費用相場や注意点、減税制度・補助金もわかりやすく解説

快適な住まいを手に入れるため、マンションのリノベーションを検討する人が増えています。しかし、いざ検討を始めると費用がどのくらいかかるのか、どのようなプランがあるのかなど、多くの疑問がわくことも。そこで今回はリノベーションの魅力から人気の間取りやアイデア、費用の相場、ローンや減税制度・補助金まで、気になることをわかりやすくご紹介します。

目次

リフォームとは違う、リノベーションの魅力とは

リノベーションで暮らしが大きく変わる

(写真/PIXTA)

マンションのリノベーションはリフォームとどこが違うの?

リノベーションと似た言葉にリフォームがありますが、具体的にどのようなところが違うのでしょうか。

リフォーム(reform)は英語で「改善・改修」という意味であるように、老朽化した設備や破損・汚損した箇所を、新築に近い状態に修繕することを意味します。
例えば、老朽化した洗面所やトイレといった設備を新しいものに交換したり、傷んだフローリングや壁などを補修したりするなど、原状回復や不具合のある箇所を修繕するのがリフォームです。

一方、リノベーション(renovation)は、ライフスタイルに合わせて住まいをよみがえらせるために行う、機能や価値を包括的に再生させる改修工事を意味します。
例えば、中古マンションを購入して快適性を高めるために間取りを大幅に変えたり、最新の住宅設備に交換したりして、マンションの価値を向上させる修繕などが該当します。また、スケルトンの状態(内装をすべて取り払い、建物の躯体構造のみにした状態)にしてから工事をする「フルリノベーション」も該当するでしょう。

このように、リノベーションとリフォームは意味を分けて使われていますが、言葉の定義はあいまいな部分もあり、リノベーションを含めてリフォームと呼ぶこともあります。

マンションのリノベーションの魅力・特徴は?

リノベーションの魅力は、設計の自由度が高いことです。
キッチンをはじめとした設備を改修する場合、間取りそのものは従来と変わらないのが一般的。しかし、リノベーションは快適性を高めることも重要な目的のため、ライフスタイルに合わせた間取りに変更するケースが多いです。

中古マンションを購入する際に、物件の選択肢が広がるのもリノベーションの魅力です。
特に一昔前に建てられたマンションは、現代のライフスタイルに合わない間取りの物件も多く、「立地はいいけど、間取りが残念だからあきらめた」というケースもしばしば。しかし、リノベーションを前提に物件を探せば、選択肢も大きく広がります。

ただし、リノベーションでは工事の規模が大きくなることや、最新の設備を積極的に選ぶことから、費用は多め、工期は長めになります。そのため、想定以上の費用がかかったり、工事期間中の仮住まいを長く確保しなければならなかったりするので、事前に計画をしっかりと立てておくことが大切です。

マンションのリノベーションの魅力・特徴

工事の規模 配管や間取りを変更するなど、規模が大きくなりやすい
設計の自由度 間取り変更も視野に入るため、設計の自由度は高い
物件の選択肢 多くの物件の中から探すことができる
費用 工事の規模が大きくなるほど、費用がかかる
工期 工事の規模が大きくなるほど、工期が長くなる

マンションのリノベーション費用の相場は?

気になるリノベーションの費用相場は?

(写真/PIXTA)

部位別の費用を参考にして、リノベーションのプランを立てよう!

快適な暮らしを手に入れるため、マンションのリノベーションに憧れを抱いている人は多いでしょう。しかし、どのくらいの予算で検討すればいいのかわからず、なかなか踏み出せないという方もいるのでは。

そんなときは、リノベーションやリフォームの事例を参考にするのがおすすめです。工事の内容に合わせて、だいたいの相場を見てみましょう。

スケルトンリフォームの費用・相場

スケルトンリフォームとは、マンションの床や壁、天井などをすべて取り除いて、スケルトン(骨組み)の状態にする工事のことです。給排水管にも手を加えるため、水まわりの配置や間取りなどを大幅に変更できます。

マンションのスケルトンリフォームの費用は、規模や内容によって大きく異なります。
ホームプロの事例によると、目安となる価格帯は300万円~800万円で、費用が1000万円を超えるなど高額になるケースもあります。

スケルトンリフォームの費用は300万円~800万円が目安で、中心価格帯は600万円~700万円

参考:マンションのスケルトンリフォーム費用・相場

キッチンのリフォーム費用・相場

毎日使うキッチンは、使い勝手を良くするだけで料理がもっと楽しくなるもの。冷蔵庫からキッチン、キッチンからリビングといった動線を考えた配置にすれば、家族みんなが心地よい時間を共有できるでしょう。食材や調理器具の収納スペースや、ごみの保管スペースなども工夫すると、キッチンとしての機能性もアップします。

ホームプロの事例によると、マンションのキッチンのリフォーム費用は、30万円~120万円が目安で、60万円~120万円の価格帯が全体の約4割を占めています。一方、アイランドキッチンへの変更など、給排水管の配置変更が必要なリノベーションでは、500万円を超えるケースも見られました。

キッチンのリフォームの費用は30万円〜120万円が目安で、中心価格帯は90万円〜120万円

参考:マンションのキッチン・台所リフォームの費用と相場

マンションの浴室・お風呂のリフォーム費用・相場

お風呂は、汚れた体を洗い流すだけでなく、1日の疲れをリフレッシュするための特別なスペース。ゆったりとした空間を確保するのはもちろん、清潔感も保ちたいですよね。そのため、リノベーションする際は掃除やメンテナンスのしやすさも考慮するといいでしょう。

ホームプロの事例によると、マンションの浴室・お風呂のリフォーム費用は60万円~120万円が目安で、中心価格帯は80万円~100万円です。メンテナンスがしやすいシステムバスを選ぶと100万円前後で収まりますが、人工大理石や鋳物ホーロー製、ヒノキ製の浴槽への変更など、こだわりのあるリノベーションでは200万円を超えていました。

浴室・お風呂のリフォーム費用は60万円〜120万円が目安で、中心価格帯は80万円〜100万円

参考:マンションの浴室・風呂リフォームの費用と相場

リビングのリフォーム費用・相場

マンションのリビングのリフォームは、修繕はもちろん、家族がくつろぐ空間をもっと快適にする目的もあります。工事の内容は床の張り替えから収納スペースの確保、照明器具の交換、床暖房への変更などさまざま。設計の段階から家族とよく話し合い、どのようにしたら快適な空間に変わるのか、完成後のイメージをみんなで共有しておきましょう。

ホームプロの事例によると、マンションのリビングのリフォーム費用は、~100万円くらいが目安になります。フローリングの交換など修繕メインのリフォームは50万円未満で収まりますが、間取りを大幅に変更するリノベーションでは、金額が500万円を超えていました。

リビングのリフォーム費用は半数の人が100万円以下だが、1割の人は500万円を超えている

参考:マンションのリビング・居間リフォームの費用と相場

マンションをリノベーションする際の注意点は? 後悔・失敗しないためのポイントを解説

リノベーションで後悔しないためには十分な検討が必要

(写真/PIXTA)

いざマンションのリノベーションに踏み出したものの、「思っていたのと違う感じになりそう」「これは盲点だった」といった問題にぶつかってしまうこともしばしば。リノベーションは一生に何度もするものではないため、後悔・失敗は避けたいですよね。そこで、マンションをリノベーションする際の注意点や、失敗を避けるためのポイントをご紹介します。

マンションのリノベーションには、お金で解決できない問題がある

マンションのリノベーションでは制約が課せられることがあります。長い時間をかけて検討したのに、「理想的なプランが実現できなかった」などという事態にならないよう、以下の点に注意しましょう。

共用部分は変更できない

マンションは自由に使える専有部分と、他の住人と共同で使用する共用部分があり、共用部分については自由にリノベーションすることができません。

エントランスやエレベーター、廊下、非常階段などは、わかりやすい共用部分ですよね。意外に見落としがちなのが、玄関のドアや窓。これらは内側こそ専有部分ですが、外側は共用部分に該当するため、勝手に交換することはできません。

また、ベランダやバルコニーも共用部分になるため、自由に変更できません。リノベーションを機に窓ガラスやサッシを交換したいと考えている人は、事前に管理組合に相談して交換ができるのか、できる場合にはどこまで大丈夫なのか確認しておきましょう。

間取りや水まわりの位置が変更できないことがある

マンションは建物の構造によって2つに分類され、「壁式構造」のマンションは希望とおりの間取りに変更できないことがあります。

ラーメン構造 柱と梁(はり)で建物を支える構造。壁を取り払うことができ、比較的自由に間取りの変更ができます。
壁式構造 柱や梁がなく、壁で建物を支える構造。柱や梁がないことからスッキリとした空間になりますが、建物を支えている壁を取り払うことができないため、自由に間取りの変更ができません。

また、マンションによっては、給排水管の位置を変更できず、キッチンや浴室といった水まわりを移動できないことも。

このように、マンションのリノベーションは構造的な問題でプランが限られることがあるため、専門の業者に相談することが大切です。

管理規約で禁止されていることがある

リノベーションのプランを検討する前に、マンションの管理規約の禁止事項を確認しておきましょう。

床材の変更ができない 防音の観点から、床材の変更を管理規約で禁止しているケースがあります。床のリノベーションをする際には、どのような基準を満たせば交換が可能になるのか、事前に確認しておきましょう。
水まわりの移動ができない 排水管を流れる水の音は、階下の部屋に騒音被害を及ぼすことも。そのため、キッチンやトイレ、浴室など、水まわりの移動を禁止していることがあります。
電気やガスの容量に注意 マンションは、各戸が使える電気とガスの容量に上限が設定されていることがあります。管理規約とは関係がない項目ですが、リノベーションで電気やガスの容量が変化する場合には、制限の範囲内にとどまっているのか確認しておきましょう。

さまざまなことを想定して、資金計画を立てておこう

リノベーションは工事の規模が大きいことから、その分の費用がかさみがち。だからこそ、途中で予算オーバーにならないよう、しっかりプランを練ることが大切です。その際に気を付けたいのは次の3点です。

予算の範囲内で収まるプランにする 当然のことですが、予算の範囲内で工事を進めてもらうことが大切です。どのような工事にいくら必要なのか、事前に担当者と打ち合わせをして、必要なお金を準備しておきましょう。
想定外の事態にどう対応するか確認しておく 工事を始めたところ給排水管の老朽化が激しく、追加で交換の費用が必要になるなど、想定外の費用がかかってしまうことも。追加工事が想定されるのか、想定される場合にはいくら必要なのか、事前に確認しておきましょう。もしもの場合に備えて、資金にある程度余裕を持たせておくと安心です。
工事期間中の仮住まいの費用を見積もっておく リノベーションは工事の規模が大きいことから、期間中の仮住まいや、荷物を保管するためのトランクルームを借りなければならないことがあります。工事の内容によりますが、1カ月から3カ月ほどみておくといいでしょう。

リフォームローンをうまく使おう。選び方のポイントは?

リノベーションを含め、リフォーム費用を調達する際に利用できるのがリフォームローンです。融資を受ける際に担保を必要としない「無担保型」と、自宅などを担保として提供する「有担保型」の2つのタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。

無担保型のリフォームローンは金利が有担保型よりやや高く、返済期間は最長でも10年や15年など短めです。その分、有担保型に比べると借り入れがしやすく、審査の結果が早く出るケースが多いようです。そのため、比較的少額の資金を借りる際に適しているといえるでしょう。

一方の有担保型のリフォームローンは、自宅マンションを担保として提供するため、住宅ローンに近い金利水準で借りることができます。借りられる金額も住宅ローン並みに多く、返済期間も35年など長めに設定できるのが特徴です。担保の不動産に抵当権を設定するための手間や費用が必要になることから、多めの資金を借りる際に適しているといえるでしょう。

なお、中古マンションを購入してリノベーションをする場合、住宅ローンも選択肢のひとつになりますが、金融機関によっては住宅ローンが使えないなど対応が分かれています。事前に確認しておきましょう。

リノベーション業者を選ぶ際の注意点

工務店やリフォーム会社、不動産会社など、リノベーションを手掛ける業者はさまざま。どのようなリノベーションをしたいのか、自分が抱いているプランを明確にしたうえで、自分に合った業者を選びましょう。選ぶ際は、以下のポイントに注意してみてくださいね。

施工実績を確認する

過去の施工事例を紹介してもらい、その業者がどのようなリノベーションを得意にしているのかチェックしましょう。依頼しようと考えているプランに近い実績が豊富な業者であれば、完成までのイメージをしやすく、安心して工事をお願いできます。

話をしっかり聞いてくれるか確認する

リノベーションを成功させるには、業者と完成イメージを共有することがとても重要です。打ち合わせの際にこちらの話に耳を傾け、一緒にプランを考えてくれる業者を選びましょう。こちらの話を聞き流して一方的におすすめのプランを提案してくる場合は、完成後のイメージが共有されないまま工事が進んでしまうリスクがあります。

アフターサービスを確認する

リノベーションは、業者と完成イメージを共有することが重要

(写真/PIXTA)

工事完了後のトラブルに対して、しっかり対応してくれる業者を選びましょう。業者の中には保証期間を設けていたり、メンテナンスなど充実したメニュー用意していたりします。アフターサービスの内容や範囲など、具体的に確認したうえで依頼するといいでしょう。

マンションのリノベーションで人気の間取り・アイデア10選!

モデルルームを見学して、リノベーションへの期待が膨らむ家族

(写真/PIXTA)

マンションのリノベーションで人気の間取り5選!

せっかくマンションをリノベーションするなら、実用的なだけでなく、自分好みのオシャレな家にしたいですよね。ここでは人気の間取りを5つご紹介します。

人気の高い、家族が集まる広いリビング・LDK!

(イラスト/青山京子)

マンションのリノベーションで、多くの人に選ばれているのが「広いリビング」です。古いマンションでは、リビングの横に使っていない小部屋があるなど、今のライフスタイルに合わない間取りになっていることも。そんなときは、細長い廊下を取り込むようにして、小部屋やリビング・ダイニングとの仕切りをなくすといいでしょう。

広いリビングが好まれる理由のひとつは、家族のコミュニケーションを重視する家庭が増えたこと。リビングに共有のワークスペースをつくれば、家事やリモートワークをしている親の横で子どもが宿題や読書をしたりすることもできます。居心地のいいリビングには自然とみんなが集まり、家族団らんの時間を過ごせるでしょう。

仕事や趣味に打ち込むことができるパーソナルスペース・書斎も人気!

(イラスト/青山京子)

リノベーションを機に、仕事や趣味に打ち込めるパーソナルスペースを求める人も増えています。趣味のコレクションをうまく収納してオシャレなインテリアに仕上げれば、リモートワークの際に映り込んでも気になりません。ちょっとした工夫で、自分らしさも演出できますよね。

間取りを設計する際にも、さまざまなアイデアが欠かせません。例えば、パーソナルスペースを広いリビングの横に配置してゆるく仕切れば、家族の存在を感じながら自分の作業に集中できます。子どもが成長し独立した家庭では、使わなくなった子ども部屋を取り込む形でパーソナルスペースを配置すると、空間をムダなく使うことができるでしょう。

みんなの顔が見える対面型のオープンキッチン・カウンターキッチンは定番の人気!

(イラスト/青山京子)

リノベーションの定番といえるのが、「対面型のオープンキッチン・カウンターキッチン」。子どもの様子を見守りながら料理を楽しめるなど、家族との時間を大切にできるのが人気のポイントです。また、中古マンションでは、新築時に採用されていなかったケースが多いということも、オープンキッチン・カウンターキッチンが選ばれる理由のひとつといえます。

一方、オープンキッチン・カウンターキッチンには「料理の際にはねた水や油がリビングを汚してしまう」「収納や通路にスペースをとられてしまう」などといったお悩みも。そこで近年はコンロとシンクが分かれたキッチンが登場するなど、ライフスタイルやニーズに合わせて好みのタイプを選べるようになりました。

上手にパントリーを配置すれば、生活感を抑えた空間が実現できる

(イラスト/青山京子)

パントリーは、キッチンやその周辺に設置された収納スペースのことで、主に調理器具や食器、食品などを収納します。キッチンまわりに収納を増やすことで、キッチンがすっきり見え、生活感を抑えた空間を実現できるのが魅力です。

パントリーを検討する際は、動線をイメージするのがポイント。特にリノベーションで定番になっているオープンキッチン・カウンターキッチンでは、キッチンまわりの動線確保が重要です。設置してから「使いづらかった」などと後悔しないよう、どこに何を収納するのか、具体的にシミュレーションしておくといいでしょう。

スケルトン天井はとにかくオシャレ。解放感も体感できる!

(イラスト/青山京子)

スケルトン天井は、マンションの天井に張られているボードなどが取り除かれ、鉄筋コンクリートの梁や躯体がむき出しになったもの。天井が高くなることで開放感が生まれるのがメリットで、天井が低めにつくられた中古マンションなどをリノベーションする際に取り入れると、圧迫感を減らせます。

ただし、天井部分の内装がなくなることから、最上階では断熱性が低下するなどのデメリットもあるため、計画時にリノベーション業者と相談して、空気循環を考慮するなど工夫が必要です。また、マンションの最上階は屋根に断熱材が入っているケースがあり、スケルトン天井を希望しても実現できないこともあります。

マンションのリノベーションで参考にしたいアイデア5選!

ここでは、マンションをリノベーションする際のおすすめアイデアを5つご紹介します。オシャレな住まいにするのはもちろん、暮らしやすくするための工夫もどんどん盛り込んでいきましょう。

動線を工夫して、暮らしやすい住まいに変えよう

動線とは起きてから寝るまでの動きを線にしたもので、家事をするときの「家事動線」や、生活するうえで生じる「生活動線」、来客が訪れたときの「来客動線」などがあります。

家事動線
  • ・キッチンで作った料理を食卓まで運ぶときの動き
  • ・洗濯機で洗った衣類をベランダへ干しに行くときの動き など
生活動線
  • ・浴室を出たあと、寝室に向かうまでの動き
  • ・トイレを出たあと、洗面所に向かうまでの動き
  • ・着替えを終えてから、出勤・通学のため玄関に向かうまでの動き など
来客動線
  • ・来客を迎え入れる際の、玄関から客間までの動き など

リノベーションで間取りを検討する際には、それぞれの動線を意識して暮らしやすくするための工夫を取り入れることが大切です。

例えば、家事動線をよくするには、行き止まりの部屋をなくしてそれぞれの部屋をつなぐと、掃除や片付けがしやすくなります。また、生活動線と来客動線を切り離しておけば、急な来客があってもくつろいでいるところを見られずに済みます。以下にいくつか参考になるアイデアを紹介しますので、間取りを考える際の参考にしてみてください。

動線を意識したアイデア

  • ・荷物が散らかりにくいよう、玄関からリビングまでの間に収納スペースを設ける
  • ・来客がトイレに向かうときの動線は、リビングを通らなくてもいいように分けておく
  • ・お米や飲料水など重いものを収納しやすいように、玄関からキッチンまでの動線上に専用のパントリーを設置する
  • ・家族の出勤や通学の時間が重なってもスムーズに移動できるよう、行き止まりの通路をなくす

ウォークインクローゼットを間取りに加えて収納上手になろう!

(イラスト/青山京子)

衣類だけでなく、キャリーバッグといった大きめの荷物も収納できるウォークインクローゼットは、新築のマンションでは標準の間取りになりつつあります。しかし、中古マンションではウォークインクローゼットそのものがないことが多く、あったとしても使い勝手が悪いことも。

そこで、リノベーションを機にウォークインクローゼットを間取りに加える人が増えています。玄関からリビングまでの動線上に設置したり、家族みんなが使いやすいよう入り口を複数設けたり、使い勝手を良くするための工夫を取り入れるといいでしょう。

玄関にモノがあふれにくいシューズインクローゼット

(イラスト/青山京子)

言葉のとおり、土足のまま出入りできるのがシューズインクローゼットです。玄関の脇に設置されるのが一般的で、外出の際に持ち出すカバンや学校道具、ブーツやコートなど、さまざまなものを収納できるため、玄関まわりがスッキリします。

シューズインクローゼットには、収納スペースが行き止まりになっているウォークインタイプと、収納スペースを通り抜けられるウォークスルータイプがあります。ウォークインタイプはスペースの都合上、複数人が同時に使うのは難しいですが、ベビーカーのような大きな荷物を収納するのに適しています。一方のウォークスルータイプは生活動線上にあるため、大きい荷物を収納するのに適しませんが、細かいものを収納しやすく使い勝手が良いのが特徴です。

断熱や防音性能がアップすると生活がさらに快適になる

リノベーションの際、エアコンの効きが悪いと感じている人や窓に結露やカビが発生しやすいと感じている人は断熱リフォームを、外からの音や外に漏れる音が気になる人は防音リフォームを検討するのがおすすめ。

工事の内容は以下を参考にしてください。

断熱リフォーム
壁や床への対策 室内の壁や床に木材などで下地をつくり、断熱材を入れます。断熱材には発泡スチロール状の断熱版や、泡状の断熱材などが使われます。
窓への対策 温まった外気が外へ逃げないように、ガラスを断熱性の高い複層ガラス(2枚以上のガラスを合わせた構造)に交換したり、内窓を増設したりして断熱性能を高めます。※
防音リフォーム
外からの音への対策 防音性能が高い窓ガラスに交換したり、壁や天井に防音材などを施工したりすると効果が期待できます。※
室内の音への対策 子どもの話し声など室内の音が気になる人は、各部屋の扉を防音効果が高い扉に交換します。
階下に響く音への対策 子どもが跳びはねる音など、階下に響く音が気になる人は、床材を防音効果が高いものに交換します。
排水音への対策 バスやトイレなど、配管の中を流れる水の音が気になる場合には、配管に防音材を巻くことで改善できます。

※マンションの窓やサッシは共用部分になるため、自由に交換できない場合があります。工事の前に管理規約を確認し、管理組合へ相談しましょう。

畳の小上がりは、気軽に寝転べる快適なスペース

(イラスト/青山京子)

床より一段高い畳の小上がりは、床に落ちたゴミを気にすることなく、気軽に寝転べる快適なスペース。ゴロンと横になってテレビを見たり、洗濯物をみんなで畳んだりと、いろいろな使い方ができます。床下は収納スペースとして有効活用できるというメリットも。

ただし、小さいお子さんや年配の方がいる家庭は、小上がりからの転落、転倒やつまずきなどに注意が必要です。柔らかいクッションを床に敷いておくなど、ケガを防止するための対策も考えておきましょう。

知らなきゃ損! リノベーションで使える減税制度・補助金の一覧

リノベーションには使える減税制度や補助金がある

(写真/PIXTA)

条件を満たせば、リノベーションで減税制度が使える!

マンションのリノベーション費用は、少しでも抑えたいところです。以下の減税制度を上手に活用しましょう。

住宅ローン減税

返済期間が10年以上のリフォームローンを利用してリノベーションをした場合、「令和7年(2025年)12月31日までに住み始めること」「増改築の日から6カ月以内に住み始めること」「控除を受ける年分の合計所得金額が2000万円以下であること」など所定の条件を満たせば、住宅ローン減税を受けることができます。

住宅ローン減税の対象になると、年末のリフォームローンの残高(最大2000万円)の0.7%を上限に、10年間にわたって所得税が減税されます。初年度は確定申告が必要になりますので、該当する場合は忘れずに確定申告をしましょう。

No.1211-4 増改築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)

出典:国税庁「No.1211-4 増改築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)

バリアフリー化など、特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除

リノベーションで耐震(※)やバリアフリー、省エネ、三世代同居、長期優良化のためのリフォームを行うと、リフォームローンを利用していなくても減税の対象になります。

控除額は対象となる工事に定められた「必須の工事の額(A)」の10%と、「その他の工事の額(必須工事の超過額とその他のリフォームの額)(B)」の5%です。「必須の工事の額(A)」と「その他の工事の額(B)」の合計額の上限は1000万円ですので、それらの条件をまとめると以下のようになります。

※マンションについては、耐震を目的としたリノベーションを個人で行うことはできません。

必須工事限度額
:A
その他工事限度額
:B(1000万円―A)
最大控除額
:(A×10%)+(B×5%)
耐震 250万円 750万円 62.5万円
バリアフリー 200万円 800万円 60万円
省エネ 250万円(350万円) 750万円(650万円) 62.5万円(67.5万円)
三世代同居 250万円 750万円 62.5万円
耐震+省エネ+耐久性 500万円(600万円) 500万円(400万円) 75万円(80万円)
耐震or省エネ+耐久性 250万円(350万円) 750万円(650万円) 62.5万円(67.5万円)

※( )の中の数字は太陽光発電を設置する場合

バリアフリーなど、特定のリフォームをした場合に受けられる固定資産税の減税

リノベーションで耐震やバリアフリー、省エネ、長期優良化のためのリフォームを行うと、固定資産税が一定割合減税されます。減税を受けるには、リフォーム工事が完了してから3カ月以内に申告をする必要がありますので、忘れずに手続きを済ませましょう。

リフォームの内容 減税額
耐震リフォーム 床面積120m2相当分までの固定資産税額の2分の1
バリアフリーリフォーム 床面積100m2相当分までの固定資産税額の3分の1
省エネリフォーム 床面積120m2相当分までの固定資産税額の3分の1
長期優良住宅化リフォーム 床面積120m2相当分までの固定資産税額の3分の1

親や祖父母などから資金援助を受けた場合に使える、贈与税の非課税措置

親や祖父母といった直系尊属から資金援助を受けてリノベーションをすると、一定額まで贈与税が非課税になります。上限額は耐震、省エネ、バリアフリー住宅の場合には1000万円、それ以外の住宅は500万円です。

特例の適用を受けるには、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に、贈与税の申告書に住宅性能証明書など所定の書類を添えて税務署に提出する必要があります。

非課税枠の上限額

耐震、省エネ、バリアフリー住宅 1000万円
その他の住宅 500万円

リノベーションで使える補助金もある!

リノベーションの内容によっては、国や地域が行っている補助金が使えるケースもあります。予算に達すると終了してしまうので、情報はこまめにチェックしておきましょう。以下に代表的な補助金をご紹介します。

先進的窓リノベ事業

断熱性能の高い窓に交換することで、エネルギー価格高騰への対応と、家庭からの二酸化炭素排出量削減を目的に設けられた制度です。窓リノベ事業者と契約して窓ガラスの交換(断熱改修)をする工事が対象で、工事の内容に応じて一戸当たり5万円から最大200万円が補助されます。

こどもエコすまい支援事業

高い省エネ性能を満たすなど、所定の条件をクリアしたリフォームに対して補助金が支払われます。補助金の額は一戸当たり最大30万円ですが、子育て世帯と若者夫婦世帯は最大60万円まで補助金を受けられます。

給湯省エネ事業

高効率の給湯器を設置した場合に支給される補助金です。補助金の額は家庭用燃料電池(エネファーム)が1台当たり15万円、電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機)とヒートポンプ給湯機(エコキュート)が1台当たり5万円です。

上手にリノベーションをして、快適な住まいを手に入れよう!

マンションを上手にリノベーションすれば、家族みんなで快適に過ごせる住まいが手に入ります。リノベーションの注意点を押さえ、使える制度はしっかり活用し、「やってよかった!」と思えるマンションリノベーションを目指しましょう。

監修者プロフィール

斉藤勇

ファイナンシャルプランナー・宅地建物取引士としてWebメディアで情報を発信。保険や貯蓄、投資、住宅ローンなど、お金にまつわる疑問や悩みごとの相談にも応じている。趣味は釣り、サーフィンをはじめとしたマリンスポーツ。モットーは「いつもありがとうの心を忘れずに」

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