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住宅街を見回すと、さまざまなデザインの外壁がありますが、どのような種類がありますか。 「外壁は、大きく分けて2種類あります。コーティングした板状の外壁材をパネルのようにはめて、釘などで下地に固定するサイディング系。そして、砂と水、セメントを混ぜて練り上げたものを左官コテで下地に塗るモルタル系です。 家の構造は間柱から順に、下地板と透湿防水シートが張られ、以降は種類によって異なります。 サイディングは、ボードを固定する通気胴縁、そして外縁に、装飾が施されたサイディングが組まれる4層構造。モルタルは、ラス網、モルタル、装飾部分に当たる塗装の5層です。 一番外側の層が劣化すると、雨水が建物の内側に入り、腐朽などの原因になるので定期的なメンテナンスが必要です」(江原氏、以下同) それぞれの外壁材によって、どのような劣化が起こるのでしょうか。外壁の特徴と起こりうる症状について江原氏に解説してもらいました。
「近年主流のサイディングの素材もさまざま。窯業(ようぎょう)系、樹脂系、金属系、木質系とありますが、主流の窯業系の耐用年数は15~20年とされています。 窯業系サイディング材で多い劣化は、『割れ』、『カビ』、『反り』や『チョーキング』。『反り』は、ボードのコーティングが剥がれて水分がしみこみ、乾いたときにボードの表面が収縮して外側に反り返る現象です。『チョーキング』は紫外線の影響で、表面の塗料がチョークのようにほころびること。いずれも定期的な塗り直しが劣化防止につながります」
「サイディングのメンテナンスのポイントは、ボードの継ぎ目を埋め込むシーリング。これが痩せたり欠けたりすると、そこから建物に雨水が侵入するとボードの反りが出てくるため、注意が必要です」
「モルタルは塗り壁のため、サイディングのように継ぎ目から雨水が侵入することはありません。しかし、ひび割れや塗装剥がれが起こり、その部分から雨水が入ると、下地が腐朽し劣化します。また、直射日光が当たる住宅の南側はチョーキングが出やすく、日陰となる北側では藻やカビが発生することも。 装飾が施されているサイディングと違って、モルタルは吹き付け式の仕上げやタイル、レンガを張り詰めるなど化粧を施すケースが多くあります。一番外側の層にあたるため、美観のためにはもちろん、劣化を防ぐ意味でも細かくメンテナンスをしたほうがいいでしょう。レンガやタイルは素材自体の耐久性は高いですが、壁面との間の接着剤が劣化することによる剥離に注意してください」
建物の構造枠と外壁がほぼ一体化しているRC(鉄筋コンクリート)やALC(軽量気泡コンクリート)については、いかがでしょうか。 「RCは気密性が高く、元々の意匠を生かす傾向にあるため、シーラーなど水の侵入を防ぐための塗装のみ行うのが主流です。 ALCはコンクリートより軽く、断熱性に優れていますが、反面、水を吸収しやすいのが特徴です。水の侵入を防ぐために、ALCの継ぎ目にしっかりとシーリング材を施し、表面は塗装で膜を張ります」
「そもそもメンテナンスと補修を混同する方が多いですが、意味合いは異なります。メンテナンスは、劣化する前に外壁を維持・管理するためのものであり、劣化したものを直すのが補修です。 外壁装飾のバリエーションは豊富で、今後も増えていくことが予想されるため、耐用年数がどのくらいかはケース・バイ・ケースであるのが正直なところです。毎日外壁をチェックするのは大変ですが、何年かに1回は外壁の状態を施工会社にチェックしてもらい、定期的にメンテナンスをしたほうがいいでしょう」 外観に症状が見られないと「まだ大丈夫」と放置してしまいがちですが、大切なのは劣化を未然に防ぐためのメンテナンス。腐朽の原因となる雨水から家を守るためにも、5~10年の間に定期的に状態を確認できるよう心がけたいものです。 (取材・文:小林有希 編集:ノオト)
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