リフォーム会社紹介
(匿名で申込む)
マイページにログイン
(会員・商談ページへ)
会員ページでは、お申込みいただいた内容に対応できるリフォーム会社を紹介しています。各社の会社情報、評価・クチコミの閲覧や、メッセージのやりとり(商談)ができます。
壁面の一部分をくぼませてつくる「ニッチ」は、小物などを飾ったり、ちょっとした物を収納したりするスペースとして人気です。そこで今回は、ニッチのメリットやデメリット、リフォームで取り入れるときに注意したい点、費用の目安などについて、一級建築士の佐川旭さんに教えていただきました。
目次
(画像/PIXTA)
ニッチとは、壁の一部分をくぼませてつくった小さなスペースのことを指します。形やサイズ、くぼませた内側の素材の種類、照明が埋め込まれているなど、スタイルはさまざまです。
ニッチは、何かを収納するために設けられるケースもありますが、その起源は、何かを飾るために設けられるスペースです。
「ニッチはヨーロッパの住まいで多くみられます。その理由は、ヨーロッパの家は昔から窓が小さくて少なく、壁が多いため、壁面に何かを飾って暮らしを楽しみたいという思いから生まれたからだそうです。
一方、日本の家は窓が複数あり大きく開放感もあったのですが、2000年ごろから耐震化のために壁が多い構造が求められるようになりました。そのころから壁面を飾る工夫としてニッチが注目されはじめ、現在の人気につながっているのでしょう」(佐川旭建築研究所 佐川旭さん。以下同)
さらに近年、職人不足や資材の値上がりによる建築コストを抑えるため、画一的な間取りや、使用する内装材の種類を絞った住まいが増えています。
「コストを抑えた住まいは、室内が単調で殺風景な印象になりがちです。そんな住まいに、ちょっとした小物を飾れるニッチがあると、自分たちの好みやライフスタイルを表現できますし、暮らしに潤いを与える効果もあります」
(画像/PIXTA)
ニッチは、基本的に壁の厚さを利用してつくられます。
木や石膏ボードでつくられた壁の厚さは10~12cmとなり、この場合は奥行き8cm程度のニッチがつくれます。何かを飾るために設ける場合は、幅30cm、高さ30~45cm程度が一般的なサイズで、飾るものに合わせて縦長や横長の形にするケースも多いです。
「飾る目的のニッチをつくるなら、設ける高さにも配慮したいですね。視線の動きを考えると床上150cm程度に設けるのが基本ですが、絵画や写真など飾るアイテムによってはもう少し高い位置にするとよいかもしれません。また、小さい子どもがいるご家庭ならもう少し低くするとよいでしょう。
何かを収納するために奥行きを深くしたいなら、ニッチを設ける場所の壁を厚くしてもらいましょう。例えば、壁の厚さを20cmにすれば、ニッチの奥行きは15cm程度確保できます」
(画像/PIXTA)
床の面積に対して壁の面積が広いと、空間が間延びして感じられることがあります。そんなとき、壁にニッチを設ければアイポイントになり、空間を引き締める効果があります。
「ニッチは、内側に壁と同じクロスを張り、下段に化粧板を張って仕上げるケースが多いのですが、縦横四方に木枠をつけると額縁のように見え、アイポイント効果がさらにアップします」
廊下の壁面に設けた横長のニッチ。ニッチの四方と奥面にシナベニヤ板を張り、薄いパープル色を塗装しています。素材や塗装の工夫でニッチの存在を主張し、間延びしがちな空間を引き締めています(画像提供/佐川旭建築研究所)
ニッチは視線を集めやすいため、インテリアのアクセントにもなります。ニッチの中に雑貨や絵画などを飾るのも素敵ですが、照明を埋め込めば光がアクセントになり、さらにおしゃれな雰囲気をつくれます。
階段の手すり壁に複数のニッチを設けた事例。このように、夜に暗い空間となりがちな階段や玄関、廊下に照明を埋め込んだニッチを設ければ、明るさの確保だけでなくやわらなか雰囲気も演出できます(画像提供/佐川旭建築研究所)
ニッチに飾るものにより、日々の暮らしに潤いを与えます。例えば、シーズンアイテムを飾ると住まいに季節感を演出できますし、子どもがつくった作品や家族の写真を飾れば見るたびに気持ちが和むでしょう。
玄関の壁面収納の中央部のみ扉をつけず、ニッチとして造作。家族旅行で買った思い出の品など、定期的に飾るものを変えて楽しまれています。さらに、お客様をお招きするときには、おもてなしの心をしつらえで表されているそうです(画像提供/佐川旭建築研究所)
(画像/PIXTA)
奥行きはさほど深くありませんが、ニッチはちょっとしたものを収納するのに適したスペースです。洗面所やトイレに設ければ、ハンドソープや芳香剤、予備のペーパーなどを置くことができます。寝室のベッドヘッドのあたりに設けてコンセントや照明をつければ、携帯電話の充電やナイトスタンド代わりに使えて便利でしょう。
(画像/PIXTA)
ニッチを設けた部分は壁が薄くなります。壁が薄くなると、遮音性や断熱性が低下するため、隣室へ音が伝わりやすくなったり、冷暖房が効きにくくなったりすることがあります。
「遮音性や断熱性の低下は想定されることなので、ニッチを設ける壁に遮音シートや薄いタイプの断熱材を入れれば、ある程度防ぐことは可能です」
ニッチの造作は、壁面と比べるとコストがかかります。費用の目安はこの後に詳しく解説しますが、費用の内訳は主に工事職人の人件費です。
「ニッチは小さい割に目立つので、丁寧に造作してもらう必要があります。そのため、職人さんの拘束時間は壁面の場合よりも手間がかかり、コスト的にはやや割高になります。
また、ニッチのような小さいスペースにクロスを張るのはとても難しく、表面がよれてしまいがちです。コストはかかりますが、木枠などの部材を活用したほうが納まりはきれいに仕上がります」
壁面なら年に一度程度の拭き掃除でも問題ありませんが、ニッチはホコリがたまりやすいため定期的にお掃除する必要があり、その手間が生じます。
「クロスは端の継ぎ目部分からはがれやすいので、拭き掃除をするときに注意が必要です。ホコリがたまりやすい下側は、化粧板を張ってもらうほうが拭き掃除によるクロスはがれも抑えやすくなり、お掃除がラクになるでしょう」
(画像/PIXTA)
ニッチを造作する場合、費用はいくらかかるのでしょうか。
「壁と同じクロスを両横と上側の三方に張り、下側だけ化粧板を用いた場合、幅30cm、高さ30~40cm、奥行き8cm程度の四角形のニッチなら、3万~5万円程度が目安になります」
ニッチの費用が変わる理由はどのような点でしょうか。
「ニッチの造作に用いる素材を増やしたり、単価の高い素材を使ったりすると費用はアップします。例えば、下側に使う化粧材を大理石にする、奥面をガラスタイル張りにするなどで費用は高くなります」
(画像/PIXTA)
上の写真のように、ニッチの中の棚板の枚数を増やしてもコストはアップします。ガラス板は1枚5000~1万円程度なので、2枚入れるだけで1万~2万円高くなります。
また、ニッチの内部に照明を入れると費用はさらにアップします。小さなスポットライトを埋め込むなら1万円程度で、最近ではLEDテープライトを用いるケースが増えているそうです。
ニッチをつくろうと思ったとき、飾るためなのか、収納のためなのか、最初に目的をはっきりと決めましょう。特に収納目的でつくる場合、ニッチの奥行きは8cm程度しかないため、しまいたい物がそれより大きいなら壁を厚くするなどで奥行きを確保しましょう。
ただし、なんとなく奥行きを深くすると、しまう物のサイズによっては間延びして見えますし、使いにくくなることもあるので注意してください。
ニッチは空間を引き締め、インテリアのアクセントになる効果があります。しかし、壁の余白や空間のボリュームとのバランスが悪いと、このような効果は得られませんし、ともすれば悪目立ちしてしまいます。
「おしゃれに見せるなら、壁の広さや空間のボリュームとのバランスを考えることが重要です。飾る場所がたくさん欲しい、隙間がもったいないと思い、バランスを考えずに家のあちこちに設けると、落ち着きがない印象を与えてしまいます。
特に何かを飾る目的で設けるなら、周りの余白を上手に活かすことで、ニッチを主役としてより目立たせられます。例えば、大きいニッチを1つではなく、小さいニッチを複数個並べると空間にリズムが生まれますし、上部をアール状にすれば柔らかな雰囲気を演出することもできるでしょう」
(画像/PIXTA)
壁をくぼませてつくるニッチの場合、壁の中の部材によっては設けられないことがあります。
「木造住宅の場合、筋交いが入っている壁には自由にニッチは設けられません。また、コンクリートブロックなどに石膏ボードが張られた壁も、くぼませられないのでニッチをつくることは難しいです」
ニッチは、サイズや形状に決まりがないため、イメージを伝えるのが難しい面があります。
「今の家をリフォームする場合、ニッチをつくる目的や場所を決めている人は多いのですが、サイズや形をリフォーム会社に任せた結果、イメージと違ってしまったというケースがあるようです。
失敗しないためには、新聞紙などを利用して設けたい場所に仮貼りして、サイズや形などのイメージを自分なりに固めたうえで、リフォーム会社と相談してください。センスの良いリフォーム会社なら、壁や空間とのバランスを考慮したアドバイスをくれたり、よりおしゃれに見える提案もしてくれるでしょう」
(画像/PIXTA)
さらに、工事前に仕上がりを確認しておくことも大事です。ニッチを造作するだけのリフォームでは、意外と図面を書かないケースも多いからです。
「例えば、照明をつけたいと言ったら、配線が露出された状態でつけられていてがっかりした、というケースがあるそうです。
依頼者側は壁の中に配線を通してくれると思っていましたが、壁の中に配線を通すには壁の一部を壊す必要がありました。壁を壊してよいとは言われていなかったリフォーム会社は露出配線で取り付けたようです。
事前に仕上がりのイメージを共有していれば、このような事態は防げたはずです。さらに、ニッチの造作とあわせてクロスを張り替えるなどの提案が受けられたかもしれません」
ここからは空間別にニッチを設けた事例を、空間別に6件紹介します。リフォームプランの参考にしてください。
大きく間取りを変えるリフォームをした際、リビングダイニングに3つニッチを設けました。1つはお子様の作品を飾るスペースとして横長に2列ニッチを造作。ニッチ内を白に仕上げたことでアイポイントとしての効果がアップしています。
(画像/ミサワリフォーム)
もう1つはリモコンやスイッチをまとめて配置するスペース、その下方には絵本をまとめて置けるスペースとしてつくられました。こちらはニッチ内を水色にしたことで空間の統一感を生み出しています。
(画像/ミサワリフォーム)
■事例の詳細:いつでも子供達を見守れる家
キッチンとの間の壁にニッチを造作。収納するものがはみ出ないように奥行きをできるだけ深く取り、コンセントも設置。位置をテーブルの高さと等しくして、こまごまとしたものを収められる便利なスペースとして活用されています。
(画像/神奈川アメニックス)
■事例の詳細:北欧インテリアでまとめた、ナチュラルなお家にリフォーム
ご近所の方などと玄関先でお話しすることが多いため、素敵なスペースにするためにニッチを造作。視線に入りやすいよう、玄関ドアを開けた正面の壁に設け、内側の素材を変えて照明をつけることでおしゃれな印象を与えています。
(画像/日建リビング)
■事例の詳細:1階LDK・玄関をイメージチェンジ
ベッドヘッド側の壁に横長のニッチを設置。照明を埋め込んでいるので、寝室の間接照明としても使えます。内側の壁の色を変え、棚板をフローリングと同系色にすることでデザイン性を高めています。
(画像/ハーバーリフォーム)
■事例の詳細:築37年の中古マンションをフルリノベーション
洗面室の全面リフォームに合わせて、洗面化粧台の横の壁にニッチを設置。棚板4枚があるニッチは収納力も抜群、洗面化粧台に収めきれないこまごまとしたアイテムの収納に最適なスペースになりました。
(画像/アクトホーム)
■事例の詳細:和室2部屋を洋部屋に。1Fの床を重点的にリフォーム
やわらかな曲線のトイレとグレージュのクロス、木目調の飾り棚をセレクトしたことで、トイレ空間を優しい雰囲気に演出。便器の横に設けた小さなニッチは、予備のペーパーなどあまり表に出したくないものをしまうスペースとして利用しています。
(画像/アレックス)
■事例の詳細:家族が集う開放的なリビングダイニングを
ニッチは、何かを飾る目的で設ける場合と、ちょっとした物をしまうために設ける場合があります。リフォームでニッチをつくるなら、まずはどちらの目的で設けるのかを決め、それに応じたプランを検討するとよいでしょう。
「リフォームは生活の質を高めるために行いますが、そのための一つがニッチだと思います。
ニッチはちょっとした物を収納できて便利ですし、飾ることで室内をおしゃれに演出し、住み手の好みやライフスタイルを表すことができるアイデアプランです。何を飾ろうかとワクワクしたり、飾ったものを見て思い出や季節を感じたりと、暮らしに彩りや潤いを与える効果もあります。
目的はもちろん、壁面や空間のボリュームを考慮したうえで、見た目も使い勝手も良いニッチを設けてください」
【取材協力】/佐川 旭さん
佐川旭建築研究所代表。一級建築士、インテリアプランナー。間取り博士とよばれるベテラン建築家で、国内外を問わず、住宅やリフォーム、公共建築、街づくりまで手がけている
【取材/文】 山南アオ
信頼できて予算に合って評判がいい…、そんなリフォーム会社を自分で探すのは大変です。
ホームプロでは加盟会社を中立の立場でご紹介しています。
2001年のサービス開始以来、多くのお客さまにご利用いただいています。
利用者数
※2023年4月~2024年3月
昨年度のご成約
ホームプロでは、これからリフォームされる方に“失敗しないリフォーム会社選び”をしていただけるように、「成功リフォーム 7つの法則」をまとめました。ホームプロ独自のノウハウ集として、多くの会員の皆さまにご活用いただいております。
ライフスタイル別のリフォーム
こだわりのリフォーム
ご予算にあわせたリフォーム
リフォームの知恵
住まいの機能・性能向上
リフォームなんでも事典
リフォームには定価がありません。適正価格を知るには複数社の見積もりを比べるのがポイント。
予算や条件にぴったりの会社をご紹介します。