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天気のよい日にベランダやバルコニー、テラスに出ると、気持ちいいですよね。日当たりがよく広々とした空間なら、さらに快適に過ごせます。しかし、なんとなくイメージは持っていても、それぞれの定義や細かな違いまでは、ご存じない方も多いのではないでしょうか。
また、常に直射日光や風雨にさらされているベランダ・バルコニー・テラスは、定期的なメンテナンスやリフォームが必要です。雨漏りなどの修繕から、面積を広げて趣味を楽しむ空間へのリフォームまで、その内容は多岐にわたります。
この記事では、ベランダ・バルコニー・テラスの違いやメリット・デメリットについて解説します。リフォーム時の注意点や事例などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
ベランダとは「建物の外壁から張り出した、屋根付きのスペース」のことです。マンションやアパートといった集合住宅や洋風の戸建住宅などがイメージされがちではありますが、実は、昔ながらの日本家屋にある「縁側」や「下屋」(げや)と呼ばれる部分も、ベランダに含まれます。
屋根や軒、庇(ひさし)があることがベランダの条件なので、集合住宅の各部屋に設けられた、いわゆる「洗濯物を干すための土間付きスペース」のうち、屋根のあるものや、上の階の床が下の階の屋根代わりになっているものはベランダです。
バルコニーとは、「建物の外壁から張り出した、屋根のない手すり付きのスペース」のことです。なかでも、下の階の屋根にあたる部分を利用して造られた広いバルコニーのことを「ルーフバルコニー」と呼びます。
ちなみに集合住宅では、道路や周囲の建物の採光・通風に配慮し建築物の高さを規制する建築基準法の「斜線制限」によって、建物の上階だけ屋内の面積が狭くなっていることがあります。その場合、空いたスペースの活用法として、下の階の屋根を利用しルーフバルコニーを作るといったケースも見られます。
このルーフバルコニーに屋根のついたタイプは「インナーバルコニー」と呼ばれます。ベランダと比べると部屋らしい仕様が多く、より「部屋の一部が室外スペース」というようなイメージかもしれません。
建築基準法施行令では、バルコニーについて「100cm以上の幅と110cm以上の手すりを付けること」と定められています。そのため、100cm未満の狭いスペースや手すりのないタイプは厳密にはバルコニーではありませんが、メーカーによっては、この基準を満たさない小さなスペースを「サービスバルコニー」などと呼ぶ場合もあります。
一方、ベランダ・バルコニーと似たスペースにテラスがあります。テラスは「建物の1階につくられた床」のことです。
飲食店などでは造りに関わらず、店外の客席全般を「テラス席」と呼ぶのが一般的ですが、テラスは昔のフランス語で「盛り土」を意味しており、本来は窓や扉を通じて屋外から屋内へ段差なく出入りできるエクステリア設備を指しています。
ベランダとバルコニーの違いは主に「屋根の有無」、「手すりの有無」、「階層(建物の何階に作られているか)」の3点にあります。
まず、同じ屋外スペースであっても「屋根があればベランダ、屋根がなければバルコニー」です。日本の一戸建てでは、2階にバルコニーがあり、バルコニー下の1階部分がベランダになっているタイプが一般的です。同様に、同じ屋外スペースであっても「手すりがあればバルコニー、手すりがなければベランダ」です。
つまり、バルコニーとテラスの違いは「手すりの有無」、ベランダとテラスの違いは「屋根の有無」ということになります。
しかし、最近では屋根・手すりの有無に関係なく、ベランダとバルコニーが区別されずに使われるケースが増えています。ベランダ・バルコニー・テラスの中で、他と大きく違うのはテラスのみとも言えるでしょう。
ベランダ・バルコニー・テラスの活用法で最近人気なのが、リビングやダイニングなど屋内空間と一体化させて、「第2のリビング」「アウトドアリビング」として活用することです。天気のいい日には、ベランダ・バルコニー・テラスとつながる扉を開けてデッキチェアやテーブルを置けば、家族団らんはもちろん、お客さんを招いてリゾート地や欧米スタイルのようなパーティーを楽しむこともできます。
ベランダやバルコニー、テラスのリフォームを成功させるためには、「リフォーム後の生活」をしっかりとイメージすることが大事です。
ベランダ・バルコニー・テラス内部のデザインや仕様ばかりに気を取られていると、まるで取って付けたような、元々の家とちぐはぐな見た目に仕上がりかねません。リフォームの際は、家の外観と釣り合うかという点にも留意する必要があります。屋根や外壁、サッシを念頭に色や素材を選べば、家と調和した美しいベランダ・バルコニー・テラスに仕上がります。
屋外にあるベランダ・バルコニー・テラスは、通行人や近隣住民など、外部からの視線にさらされやすくなっています。その反面、侵入が容易で、腰壁(外に面した低い壁)などは泥棒の格好の隠れ家として悪用される可能性を指摘されています。実際に、ベランダの窓から泥棒が侵入するケースは少なくありません。
そのため、防犯性を高めたい場合は、侵入しにくい仕様の手すりやフェンスを設置することが一般的です。なかには忍び返しをつける人もいます。ただし、とがった部分でケガをするなどのおそれがありますので、お子さんがいるご家庭では特に注意が必要です。
一方、プライバシーを守ることだけに気が向いて、手すりやフェンスで目隠しするように住宅を覆ってしまうと、今度は風通しが悪くなり、湿気が溜まりやすくなります。そうした場合は、手すりやフェンスを木製ルーバー(格子)やパンチングメタルにすることで、通風性を確保することができます。
また、ベランダ・バルコニー・テラスで洗濯物を干す場合は、光を十分通しながらプライバシーも守れる半透明タイプの手すりやフェンスを選ぶのが良いでしょう。
洗濯物を干すのにベランダ・バルコニー・テラスを利用する場合は、屋根を付けるのがおすすめです。「雨が降ったら室内干しにするから構わない」などとつい考えがちですが、屋根が付いていれば、急に雨が降ってきても心配はいりませんし、梅雨の時期にも外の風を当てながら洗濯物を乾かすことができます。
紫外線による洗濯物への影響や、物干し中の日焼けが気になるケースにも、屋根の設置は有効です。ベランダ・バルコニー・テラス用の屋根材の中には、「UVカット仕様」のものもありますので、リフォームの要望を伝える際、業者に相談してみましょう。対応した素材の屋根を取り付ければ、紫外線対策もバッチリです。
ベランダ・バルコニー・テラスをリフォームする際、注意すべき点をお伝えします。取り付けてから後悔することのないよう、また、できるだけ良い状態で長く使っていくためにも、以下を押さえておきましょう。
直射日光や風雨に日々さらされているベランダ・バルコニー・テラス(壁付けの屋根があるタイプ)は、住宅の屋根や外壁同様、屋内よりも老朽化が早く進みます。特に、素材の腐食が進んでいる場合、もともと重量がある分、事故が起きる危険性もより高まります。経年劣化を感じたら、早めにリフォームを計画しましょう。時折意識してチェックする習慣をつけておくと、日常生活だけでは気付きにくい劣化をより早く見つけることにもつながります。
ベランダ・バルコニー・テラスの防水機能は約10年が目安です。ただし、10年以内であっても、屋根(上階のベランダ・バルコニーの土間)から雨漏りし始めてしまうこともあります。そうなると、修理の分リフォーム費用が高くなってしまうため、5年毎の防水塗装、10年毎のリフォーム工事を目安とした、定期的なメンテナンスがおすすめです。
ベランダ・バルコニー・テラスの使用目的と屋内からの動線によって、選ぶべきリフォームの内容が変わります。リフォーム後に思うように活用できず「もっとよく考えればよかった」とならないよう、事前に使用イメージを明確にしておくことが大切です。
例えば、ベランダ・バルコニー・テラスを物干しに使いたいのであれば、雨が降ることを考慮して屋根をつけた方がよいでしょう。また、アウトドアリビングとして活用するのであれば、自分たちが開放感や眺望を味わえることも重要ですが、外からの人目も気にならないように工夫しておきたいところです。
分譲マンションのベランダは「専有部分」ではなく「共用部分」にあたるケースがほとんどです。そのため、防水工事やリフォームは管理組合の主導のもとで行われます。期間はおよそ10年おきが一般的です。
共用部分の使い方についてはマンションの規約で定められていますので、リフォームの内容がマンションの規約(共用部分の使い方)に違反しないか、事前に確認しておきましょう。よくある禁止事項としては、「許可のない改修や改造」、「音響設備やアンテナ、照明機器の設置」、「大量の土を使った花壇」といった例が挙げられます。
高層マンションで育つなどして、高い所を怖いと感じなくなってしまう「高所平気症」の子どもの転落事故は、残念ながら絶えることがありません。高層マンションに限らず、高低差の意識がまだない子どもが、大人の目の届かぬ隙にベランダ・バルコニーの手すりを乗り越え、転落してしまえば大けがや命の危険につながります。
幼いお子さんがいるお宅のリフォームやこれからお子さんを予定しているご家庭では、リフォームの際に手すりを高めにしたり、足をかけて登りやすいデザインを避けたり、エアコンの室外機を手すりから離すなどしておくと安心です。また、リフォームそのもので対策するだけでなく、ベランダにものを置かない、ネットやパネルで隙間をふさぐなどできる限りの対策をおすすめします。
ベランダの拡張工事を行う際のポイントは「ベランダの強度」です。拡張によってベランダの面積が広くなる分、全体が重くなります。特にベランダのせり出す部分が1階部分よりも大きくなる場合は、地面にベランダを支えるための柱を新たに建てるなど、強度を確保するための工事が必要です。
また、面積が広くなる部分に合わせて屋根も拡張するのが良いでしょう。「物干しには使わない」、「晴天の時にしか使わない」といった場合でも、屋根があることでベランダそのものを雨や紫外線から守り、長く維持することができます。
気になるベランダ・バルコニー・テラスのリフォーム費用について、実例をもとにご紹介します。
ホームプロの事例データにおける、ベランダ・バルコニー・テラスリフォームの中心価格帯は、戸建住宅・マンションともに50万円未満です。
ただし、リフォームの種類や規模、既存設備の老朽化具合など、条件によって費用は大きく変わりますので、あくまで一例としてご覧ください。
「洗濯物を干すため、ベランダに屋根が欲しい」というご要望によるリフォームです。湖のすぐそばにある家で、ベランダ側は建物も少なく風の通り道になっており、普段から強風が吹いている状態でした。あまり屋根を出してしまうと、風のあおりを食らって、将来的に屋根が吹き飛んでしまう事態も懸念されたため、どれくらい強度が保てるか、メーカーとも相談をしながら、屋根の「張り出し長さ」を決めていきました。
【建物タイプ】戸建住宅
【築年数】11〜15年
【工期】1週間(全体)
【費用】15万円
Before
After
事例の詳細:2Fベランダ片屋根設置
「朽ちてきたバルコニーを活き返らせたい」というご要望によるリフォームです。大きく開放的な掃き出し窓、無垢のフローリングから続くバルコニー。朽ちて変色してしまったウッドデッキを整え、同じ貼り方向のフローリングとマッチさせることでより広々とした空間を演出しました。休日には大きな掃き出し窓を開けて、家族でのんびりと過ごせる憩いの場となります。
【建物タイプ】マンション
【築年数】16〜20年
【工期】1ヶ月(全体)
【費用】25万円
Before
After
事例の詳細:リビングにより広さを持たせる空間
「お庭にプライベート空間がほしい」という要望によるリフォームです。施工前はデッキを置いているのみだったテラスに囲いを施し、プライベート空間として、また、物干しとしても活用できるスペースを作りました。囲いを施したことで、外見的にもより落ち着いて見えるようになりました。
【建物タイプ】戸建住宅
【築年数】不明
【工期】1週間
【費用】130万円
Before
After
事例の詳細:お庭にテラス囲いを取付
ベランダがないことで、近隣の視線が窓から直接室内に入るという不安を解消するためのリフォームです。当初、ベランダの材質を木にするかアルミにするかで迷われましたが、要望を満たす木造をご提案。施工後は外からの視線の悩みも改善し、2匹のワンちゃんもお気に入りの、いろいろ遊べる楽しいベランダが完成しました。
【建物タイプ】戸建住宅
【築年数】1〜5年
【工期】2ヶ月
【費用】148万円
Before
After
事例の詳細:ワンちゃんもお気に入りの色々遊べる木造のベランダ
「1階リビングのサンルームを撤去して、ウッドデッキにしたい」、「奥行きが狭い2階のベランダを、有効幅1メートル以上の大きいベランダにしたい」という要望によるリフォームです。
リビング・ダイニングの一部屋の空間から南側のお庭に全面開放、玄関以外の空間を奥行き2メートル、巾約6メートルのウッドデッキに仕立てました。
2階は旧バルコニーを撤去して新規に施工。床素材は防水性能が高く、メンテナンス性にも優れたFRP強化プラスチックを採用しています。バルコニーの奥行きが広がり物干しにも便利になりましたが、一方で1階リビング・ダイニングが暗くならないよう1階窓の巾、高さを大きくしています。
【建物タイプ】戸建住宅
【築年数】26〜30年
【工期】3ヶ月以上(全体)
【費用】230万円
Before
After
事例の詳細:1階は気持ちの良いウッドデッキ、2階は広々バルコニーへ大変身
ベランダ・バルコニー・テラスには、洗濯物や布団を干す、空調の室外機やごみを置くといった用途だけを想定した狭いタイプから、アウトドアリビングとして屋内のリビングと一体化、あるいは屋内から続いて見える仕様のものまで幅広くあります。
常に紫外線や風雨にさらされ、傷みやすく老朽化しやすいベランダ・バルコニー・テラスは、10年毎を目安にリフォームや大掛かりなメンテナンスを心がけることで長持ちし、住まい全体の快適さにもつながるでしょう。
ホームプロでは、ほかにもベランダ・バルコニー・テラスに関するリフォーム事例を多数掲載しています。
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