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ちゃぶ台のいいところ。それは脚が折畳めて、使わない時は畳んで壁にでも立てかけておき、ひとつの部屋を幾通りにも使えるところ。そして、床がぐっと身近になって、物を置いたり寝転んだりして床を活用できるところ。実際、私はこの原稿をちゃぶ台で書いていて、畳の上のあちこちに資料を広げています。行きづまるとゴロンと寝転び、天井をにらみます。こんな時、床は大きな机になり、ベッドになるのです。それから、ちゃぶ台をみんなで囲んだ時の親密な感じ。人を結びつける力があるんですね。
こんなちゃぶ台はいかにも和風ですが、長い歴史の中で眺めれば、実は比較的新しく作られた近代的な和風なんです。
ちゃぶ台が使われ始めたのは、明治も半ばのこと。大都市を中心に明治の末から大正期にかけて普及し、全国にゆきわたったのは戦前の昭和のことでした。
先にも述べたように、ちゃぶ台といえば、いかにも日本らしい折畳みのシステム、部屋の使い道を多様にして融通のきくところ、視線の低い床坐の暮らし、といった和の特徴が挙げられます。しかし意外や意外、実は洋を取り入れた和洋折衷、近代和風の家具だというのです。
いったいどこが洋風? ひょっとして洋テーブルの脚を短く切っただけ? などと私は思ったのですが、違っていました。家具の形状ではなく、ひとつの食卓をみんなで囲むというスタイルこそが洋風だったのです。ちゃぶ台以前は、日本人はそんな食事のしかたはしませんでした。
ところで、銘々膳(めいめいぜん)っておわかりになりますか? そう、お膳のことです。旅館の大広間で開かれる宴会などで、ごちそうの皿がのったお膳がひとりにひとつ置かれますよね。その銘々膳を、ちゃぶ台以前はふだんの食事で用いていたのです。しかも、身分順に並んで正座、作法厳守、会話厳禁の堅苦しい雰囲気で、用いるお膳も身分に応じて脚の高さや立派さで差がつけてありました。鎌倉時代以降の武家社会の身分制度が、江戸に入ると社会全体に及び、家庭をも支配したからです。食事はなごやかな家族団欒の場ではなく、家の秩序を示す場でした。
だからこそ、家族でひとつの食卓を囲むちゃぶ台は、明治維新による四民平等、一家平等の実現を象徴する家具だといえるのです。社会主義者がちゃぶ台の使用を呼びかけるなど、大正デモクラシーの大きな流れの中で、都市に住む人々のあいだに一家団欒の生活思想はだんだん浸透してゆきました。しかし、なによりも家の狭さがちゃぶ台を必需品にしたのでしょう。当時急増していた都市の労働者階級は、地方から出てきて封建的な束縛からは比較的自由でしたし、その住まいも狭かったのです。一方で家父長の権威が根強い一部の農村や大商家などでは、昭和四十年代に入っても銘々膳で食事していたといいます。
とはいえ、明るくのびのびとした真の一家団欒の実現は、第二次世界大戦後のGHQによる日本の民主化まで待たねばなりませんでした。
ひとつの食卓をみんなで囲むことのどこが洋風なのか。この問題をまだ解決していませんでした。ヒントは鎖国時代の長崎は出島に隠されています。出島のオランダ人や中国人が同じ食卓を囲む様子を見て、日本人はオランダ料理を「ターフル」(オランダ語でテーブル)、中国料理を「卓袱(しっぽく)料理」(中国語でテーブル)と呼ぶようになったそうです。このネーミングから、当時の日本人の驚きがよく伝わってきます。まあオランダだけでなく中国も影響しているのだから、洋風より異国風というべきかもしれません。
それにしても、ちゃぶ台の「ちゃぶ」とはなんなのか。有力な説が二、三ありますが、結論は出ていません。ちゃぶ台は卓袱台とも書きますが、これは卓袱料理屋の食卓のことで、卓袱台を日本風にアレンジしたことから、卓袱の中国読み「チャフ」を語源とする説があります。あるいは、明治初期にチャプスイ(米国風の中国料理)を出す店が「チャブ屋」と呼ばれており、ここのテーブルをチャブ台といったから、とする説もあります。
ところで、ちゃぶ台といえばよく話題にのぼるのが、『巨人の星』。飛雄馬の父・一徹がちゃぶ台をひっくり返すのですが、漫画にはそんな場面はないそうです。テレビアニメで主題歌が流れる時、「ちゃぶ台返し」が1シーンだけ出たために人々の印象に残り、そのイメージが定着したのだとか。そして放映中の『サザエさん』一家は、今もちゃぶ台で食事をしています。波平さんとマスオさんはちゃぶ台をひっくり返すことはありません。
私はといえば、日曜の晩はこの『サザエさん』を見ながら、ひとりちゃぶ台でつつましく食事しています。ダイニングテーブルはほとんど使っていません。この連載の原稿をちゃぶ台で書くのもこれが最後になりました。一年間ありがとうございました。(終)
【参考文献】
『ちゃぶ台の昭和』(小泉和子編・河出書房新社刊)
『和風探索 にっぽん道具考』(GK道具学研究所+山口昌伴著・筑摩書房刊)
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