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ライフステージが変化するタイミングで検討する二世帯住宅のリフォーム。「結婚を機に親と同居を決めた」「ご高齢の両親との共同生活を検討している」「老後資金で子世帯の呼び戻しをしたい」など、世帯ごとのきっかけや希望によって、設計プランや工事内容も異なってきます。
ここで気をつけたいのが、それぞれの世帯が納得できるための配慮です。具体的な計画を立てる際、費用を分担する側、もしくは住宅を提供する側の希望が通りやすく、反対にもう一方の世帯は要望を出せずに我慢する傾向があります。
解決策としては、設計を依頼する建築家や建築会社のアドバイザーなどの第3者を間に入れて、各世帯個別にヒアリングしてもらいましょう。これによって、家族全員の希望を聞き出すことができます。具体的な計画を立てる前に、それぞれの要望を引き出せるステップを入れることが大切です。
具体的なプランを立てる時にまずきちんと見るべきは、現在住んでいる住宅です。これまで住んでいた家族構成を基準に、新しい世帯が加わることを想定して各部屋を見て回れば、施工後の暮らしが想像できます。
具体的には今の住居で、住人全員の生活動線を見直してみます。世代の違う世帯が住む場合は、ライフスタイルや習慣のズレが生まれてくるもの。「親世帯と子世帯の朝食の時間は同じ?」「共働きの夫婦の帰宅時間と親夫婦の就寝時間帯は?」といった生活のパターンを比較していけば、キッチンや玄関を分けるべきか否かなど、具体的なリフォーム後の間取りが見えてきます。
また、現状において不便に感じていることも見直してみましょう。いま住んでいる世帯が使っている玄関の収納に靴が入りきっていなかったらどうでしょうか? もう1世帯増えると、さらに使い勝手の悪いものになるのは目に見えて明らかです。収納スペースは広くしたほうがいいのか、家族が増えるとあとどれくらいのスペースが必要なのか、もしくはいま広すぎる間取りはないかなど、具体的な要素を抽出していきましょう。
間取りを計画する際に確認しておきたいのが、共有空間とプライベートスペースの住み分けです。例えば一般に、掃除道具をしまっておく収納は共有でもいいけれど、洋服をしまうクローゼットは個人で分けておきたいものです。プライバシーを考慮しながら生活空間を設計することで、かかる費用のベースがはっきりしてきます。
他のリフォームに比べて二世帯住宅のリフォームが高額になりがちなのは、世帯ごとにキッチンやトイレ、浴室を設計し増設するケースが多いからです。生活時間の違いもあるため、快適な暮らしを確保するために、水道やガスを別々にするのは基本です。
光熱費は利用する量が増えると基本使用料が上がるので、メーターも別々にして各世帯で支払いをした方が安く済むことが多いという、金銭面のメリットもあります。
ただし、せっかく同じ居住空間に二世帯が住むのですから、家族が増える良さを活かした間取りを検討したいものです。
例えば、浴室を共有することで施工費を抑えられるだけでなく、共働きの家庭は小さい子どもの入浴を両親に頼むなど、共同生活だからこそ家族に頼れる間取りにすることもできます。住人が増えるからそのまま設備を増設するのではなく、柔軟な発想でプランを立てていきましょう。
異なる世代の世帯が同居する際に配慮したいのが、音の問題です。高性能な防音の床材を取り入れることも選択肢としてありますが、費用が大幅に上がってしまいます。
まずは子世帯と親世帯、それぞれの生活習慣を比較した間取りを想定しながら、どちらの世帯も快適に暮らせる空間を考えてみましょう。
例えば、階段の昇り降りの負担を減らすために、親世帯が1階に住むご家庭は多く見られます。しかし、子世帯の小さい子ども(親から見ると孫)が駆け回る音がダイレクトに1階に響いてしまい、親世代がその音に悩まされることも……。そういった状況を避けたいのであれば、階段を緩やかにする、あるいはエレベーターを取り入れるなどして、親世代が2階に住んだ方がよいでしょう。
このように、家庭の事情によって求める工事の内容は大きく異なってきます。まずは現状の住宅を把握し、今後の生活様式を想定しながらプランニングしていきましょう。
(取材・文:石水典子 編集:ノオト)
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