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目次
そうした背景を受け、近年は住環境にこだわりを持つ人が増え、無垢材や漆喰といった自然素材を使用した建材が注目されています。こうした自然素材を住宅に使うと、一体どんなメリットがあるのでしょうか?
今回は、自然素材を使ったリフォームのメリットや費用などについてご紹介します。
自然素材を使ったリフォームというと、センスの良い、こだわりのある空間をイメージする人がいると思います。自然素材には、そうした見た目以外にもメリットがあります。
自然素材は天然の材料が使用されているため、他の建材にはない「ぬくもり」や「温かみ」を感じることができます。また、肌触りの良さも自然素材ならではの魅力です。通常の合板フローリングは足が触れたときに硬く感じる人もいると思いますが、無垢材を使ったフローリングは、素足にもなじみやすい点が特徴です。
家の中は毎日過ごす場所ですから、家族の健康維持にも気をつけたいもの。化学物質が含まれる建材を使用した家に住んでいると、それらが原因で室内の空気汚染が起こり、人によっては頭痛や吐き気などの症状を伴う「シックハウス症候群」を引き起こすおそれがあります。自然素材の建材を使用することは、シックハウス症候群の予防につながり、家族みんなの健康生活を支えます。
自然素材は燃やしても二酸化炭素などの有害物質の排出が少なく、環境に優しい点もメリットです。また、調湿機能や保温性に優れたものも多いため、自然素材を使ったリフォームを行うことで冷暖房の使用を減らすことができ、省エネにつながります。
自然素材の場合はエイジングリフォームが可能です。通常、床や壁が劣化して古くなることはマイナスになりがちですが、自然素材の場合はメンテナンスさえしっかりしておけば、元の風合いを活かす形でリフォームすることができます。その結果、住むほどに味わいが出る空間をつくることができるのです。
床は手足が直に触れる場所です。特に小さな子どもがいる場合、自然素材なら安心して見守ることができます。ここでは、自然素材を使った床材の種類や特徴についてお伝えします。
一般的な住宅のフローリングというと、複数の薄い板を接着剤で合成した「合板フローリング」が定番です。一方、無垢材フローリングは、天然木の一枚板を材料としたフローリングです。傷がついてもヤスリなどで修復が可能ですが、年に1回程度、浸透性ワックスをかけるなどのメンテナンスが必要です。蓄熱効果があるため、冬は床暖房がなくても温かい状態を保つことができます。柔らかいために滑りにくく、足になじみやすいなどの特徴もあります。
「サイザル麻」と呼ばれる、主に中南米で作られる植物を原料にしたカーペットです。ナチュラルでぬくもりのあるデザインながら毛が短いため、ダニが発生しにくいというメリットがあります。摩耗しにくいことに加えて防音性も高いため、マンションや小さな子どもがいるご家庭でも安心です。リビングに使用する場合は、ウールが混ざっているタイプが適しています。
イグサから作られる畳も、自然素材の一つです。畳は湿気を吸収する効果を持っているため、日本の気候と非常にマッチした素材です。イグサが持つ香りにはリラックス効果があり、さらっとした触り心地や保温性の高さも特徴です。近年はカラーバリエーションが豊富で、洋室に部分的に置き畳を使い、部屋のアクセントにする人もいます。
天然石は硬さや丈夫さ以外にも、高級感を出しやすいというメリットがあります。種類としては、光沢のある「大理石」や、重厚感があり傷つきにくい「御影石」などがあります。防音性はあまり高くないため、子どもやペットが走り回るような住宅には不向きです。
ワインの栓にも使われるコルクの床材は、天然のコルク樫を加工して固めたものです。気泡を多く含んでおり、防音性や保温性に優れています。弾力性が高いため歩きやすいだけでなく、室内で転倒したときもケガをしにくいというメリットがあります。小さな子どもやお年寄りがいるご家庭におすすめです。
籐は、通気性に優れた自然素材です。和風で趣があるほか、凸凹になっていて足触りが良いのが特徴です。温泉施設の脱衣所などにも、籐を使用しているところが多くあります。
ココヤシは天然繊維の自然素材です。滑らかでありながら耐久性が高く丈夫で、腐りにくい点がメリットです。
部屋の中でも面積が広い壁の素材は、部屋の印象を決める要素の一つです。和風、モダン、ナチュラルなど、部屋のテーマに合った自然素材を選びましょう。
珪藻土は、藻の化石から作られた自然素材です。調湿機能や脱臭効果に優れており、室内にペットやタバコの臭いが付きにくくなります。水分を吸収しやすいため、最近ではバスマットなどにも利用されています。
漆喰は消石灰を主な成分に作られていて、防水性に優れています。珪藻土と同じ塗り建材ですが、漆喰はアルカリ性のため、梅雨の時期などもカビが発生しにくいというメリットがあります。
オガファーザーは再生紙と木くずを原料にしており、調湿性に優れた自然素材です。「ウッドチップ」とも呼ばれます。資源を活用した材料なので環境に優しく、ヨーロッパなどでは昔から建材として使用されています。静電気が起こりにくいため、ゴミやほこりが付きにくい点もメリットです。
羽目板は、無垢の木を凹凸に加工した板のことです。パネルのようにつなぎ合わせることができます。例えば、羽目板で腰壁をつくり、漆喰などほかの自然素材と併用して壁をリフォームすることが可能です。
日本壁の種類の一つで、上塗りをせず中塗り面に色砂を塗って仕上げたものです。通常は和室など日本式の建築に使われます。長く使用していると砂がぽろぽろと落ちてくるため、専用のスプレーなどで定期的にお手入れをしましょう。
自然素材を使った部屋を長持ちさせるためには、素材に合ったお手入れをすることが大切です。誤ったケアでせっかくの自然の風合いを損なわないように注意しましょう。
自然素材の床や壁を拭く場合は、乾いた布や雑巾などを使用した「乾拭き」が基本です。合板やビニールクロスなどの場合は水拭きで問題ありませんが、自然素材の場合、素材によっては水拭きをすることにより水分が素材の表面から染み込んでしまいます。水拭きをする場合は、水で濡らし固く絞った雑巾で拭いたあと、乾拭きをするようにしましょう。
無垢材は天然の木の板のため、傷がつきやすいというデメリットがあります。小さな傷の場合はヤスリをかけ、凹み傷の場合は傷のついた部分を水で濡らして当て布をし、10秒ほどアイロンを当てると元に戻ります。また、ツヤを出したいときには、天然の植物油を使用すると良いでしょう。
漆喰の場合、多少の汚れであればヤスリやカッターナイフで削って落とすことができます。鉛筆の跡や黒ずみ・手垢がついたときは、メラミンスポンジなどでこすり落とすのが効果的です。大きな傷がついたときは、傷がついた部分にヘラなどで漆喰を塗ると、なじんで傷が目立たなくなります。
なかなか落ちない汚れの場合でも、自然素材に市販の家庭用洗剤を使うことは避けてください。シミが残ってしまったり、傷みの原因になり自然の風合いを損なうことにつながります。ある程度のメンテナンスは必要ですが、自然素材の場合は劣化も味わいになるため、それほど神経質になる必要はありません。
自然素材を使用したリフォーム費用の目安をご紹介します。費用は、もとの家の状態やリフォームの内容によって変わりますので、下記事例はあくまで参考にとどめてください。
<例>
無垢材フローリングで温かみのある空間へ
費用:40万円
工期:2週間
築年数:11~15年
マンションのリビング・ダイニングの床を無垢材フローリングにしたリフォームの事例です。床に無垢材を使うことで明るくなっただけでなく、センスが良く、温かみのある空間が完成しました。
<例>
無垢材の壁とフローリングで木の質感を楽しむ
費用:80万円
工期:10日間
築年数:11~15年
無垢材を使った戸建住宅のリフォームの事例です。リフォーム前は、合板フローリングと壁のビニールクロスの汚れが目立つ状態でした。フローリングと壁を無垢材に替えたことで、木の質感を楽しめるリビングが実現しました。
<例>
無垢材や漆喰を使用して健康的に
費用:108万円
工期:10日間
築年数:30年以上
戸建住宅の洋室と和室をリフォームした事例です。洋室の床と腰壁に無垢材、腰壁より上には漆喰を塗装。和室には無農薬畳を使うことで健康的な住宅に生まれ変わりました。
<例>
無垢や珪藻土を使用して子どもに優しい住宅へ
費用:2,340万円
工期:3カ月以上
築年数:1~5年
戸建住宅のリフォーム事例です。キッチン、浴室・バス、洗面、リビング、和室などをリフォームしました。無垢材の床と珪藻土の塗り壁を採用し、リビングには天然木の丸太を設置して、子どもが遊べるように工夫しました。
家族の健康を考えた住宅には、自然素材を使用したリフォームがおすすめです。それはマンションでも同じこと。管理会社などと相談しながら、自然素材を使用した改修を行えば、体にも環境にも優しい住まいを実現できるでしょう。また、自然素材は耐震性にも優れているため、地震対策にも有効です。
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