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輻射とは?輻射熱の冷暖房にリフォームするメリットや費用相場

  • 最終更新日:2020-06-20

輻射とは?輻射熱の冷暖房にリフォームするメリットや費用相場

冷暖房にはさまざまな方法がありますが、「輻射」と「輻射熱」という現象を活用した方法も注目されています。実際に「輻射熱」を使った冷暖房へのリフォームを検討しているという方も多いのではないでしょうか。輻射熱を使った冷暖房には、床暖房や輻射パネルを使った方法など、いくつかの種類があるので、それぞれの特徴を知っておくことが重要です。そこで今回は、「輻射」の仕組みや、輻射熱の冷暖房にリフォームするメリットについて、詳しく解説していきます。リフォームにかかる費用相場やリフォーム日数の目安、実際の導入事例なども紹介していきますので、輻射熱冷暖房へのリフォームを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

輻射とは?

輻射とは、「熱を持った物質が赤外線を出す現象」のことです。なお、この赤外線を受けた物質が発する熱は「輻射熱」と呼ばれます。太陽が昇ると暖かくなるのは太陽の熱によるものではなく、太陽が発する赤外線を受けた地表の「輻射熱」によるものです。太陽が出ているときに一番暖かいのは地表ということになります。

輻射はあくまでも物体間のエネルギー移動なので、物体の間に熱を伝える媒体が存在する必要はありません。重要なのは、赤外線や可視光線などを含む電磁波が「何らかの物体」に当たって初めて熱が発生するという点です。

輻射や輻射熱は家庭用の暖房器具にも使われています。輻射熱を使った暖房器具は赤外線を受けた物体そのものの熱を利用するため、「じんわりとした暖かさが続く」という特徴があります。輻射熱の優しい暖かさは高齢者や子どもがいる家庭にも最適です。

なお、輻射熱を使った暖房方法は、室温を上昇させる暖房方法とは大きく異なるため、室内ではなく、壁や床、天井の加熱が重要になります。

輻射熱を利用した冷暖房の種類とメリット

熱の伝わり方には「輻射」のほかに、「対流」と「伝導」があります。

対流
暖められた液体や気体は上昇して、冷たいものは下に流れる現象です。

伝導
温度の高い物質から低い物質へと熱が伝わる現象です。

「輻射」「対流」「伝導」の3種類は、家庭用の冷暖房器具にも使われています。代表的な暖房器具を見てみましょう。

・床暖房(輻射+対流+伝導)
輻射、伝導、対流のすべてを組み合わせた暖房機器です。温水や電気ヒーターを床下に通して床面を加熱し、床からの輻射で室内全体をムラなく暖めます。

・こたつ(輻射)
テーブルの下に入れられた電熱線の輻射で足元を暖めます。基本的には輻射熱で足を直接暖めますが、布団で密閉されているため、熱を持った足や床自体も内部の熱を維持します。

・ストーブ(輻射+伝導)
効率的に電気を輻射熱に変える暖房器具です。対流効果は期待できないので、部屋全体を暖める方法としては適していません。

・輻射式冷暖房(輻射、製品によっては輻射+対流)
室外機で冷やされたり暖められたりした循環液で、室内に設置した輻射パネルの温度を上下させる方法です。輻射パネルと室温の温度差に応じた輻射によって、部屋全体に冷暖房効果が生じます。室内がムラなく暖まり、電源を切った後も暖かさが持続しやすいのが特徴で、稼働音も静かです。

輻射熱を利用した空調にリフォームする際の注意点

輻射熱を利用した空調にはさまざまなメリットがある一方で、リフォームの際に注意したいポイントもあります。

暖まるまでに時間がかかる器具もある

輻射はじんわりと熱を伝えるので、冷暖房の立ち上がりに時間がかかる器具もあります。冷暖房が効くまでの時間を短縮させるには、「輻射」と「対流」の併用が効果的です。熱源に一般的なエアコンを使い、立ち上がり時に強風運転することでスムーズな冷暖房を実現している輻射式冷暖房システムもあります。

対流式の暖房器具単体でも室内は素早く暖まりますが、暖かい空気が天井に留まるため室内の暖かさにムラが生じたり、空気が汚れやすくなったりするなどのデメリットがあります。効率的に室内を暖めるためには、対流式と輻射式の弱点を補い合うようにすることが大切です。

設置に費用がかかる

通常のエアコンはエアコン本体と室外機の設置ぐらいで済みますが、輻射式冷暖房や床暖房を導入するためには床や壁、配管などに手を加える必要があるため、設置費用が高くなる傾向にあります。

一般的には、輻射式冷暖房よりも床暖房の方が費用は高額です。なお、床暖房も温水式やLPガス式などによって費用が変わってくるので、事前に確認しておくといいでしょう。

輻射熱を利用した冷暖房設備のリフォーム費用相場

輻射熱を利用した床暖房と、輻射式冷暖房のリフォーム費用相場を見ていきます。

床暖房

既存の床に重ね張りする場合は、1畳あたり約5~8万円が相場です。新しく床を張り直す場合には、1畳あたり約8~11万円のリフォーム費用がかかります。設置費用と熱源機の本体価格の合計で約25~100万円と考えておくと目安になるでしょう。

床暖房の設置費用は温水式や電気式などによって変わります。また、仕上げに使うフローリング材の価格も10~50%異なるため、リフォームの工費だけではなく、導入環境や使用素材も含めた予算を検討するようにしてください。

輻射式冷暖房

輻射式冷暖房のリフォーム費用相場は、輻射パネルの設置に20万円~、ユニット本体の価格が20万円前後となります。設置する輻射パネルの数や部屋の広さ、リフォーム工数によっても料金は変わるので注意が必要です。

輻射パネルの素材によっても価格は異なり、金属製パネルよりもプラスチック樹脂を用いたシステムの方が設置費用は安く済みます。

輻射熱を利用した冷暖房設備のリフォーム日数の目安

床暖房と輻射式冷暖房にリフォームする場合の日数も確認しておきましょう。

床暖房

既存の床に重ね張りする場合は、1日~2日程度でリフォームが完了します。簡易リフォーム対応の床暖房なら内容や熱源機の種類によって異なりますが、熱源機の設置も含めて1日で完了することもあります。新しく床を張り直す場合には、3日~5日前後の日数がかかると思ってください。

事前に床下地の状態や寸法などをチェックする必要もあるので、その時間も含めた日数を確保するようにしましょう。

輻射式冷暖房

輻射式冷暖房へのリフォームは1~4日が目安です。設置するパネルの数や部屋の広さ、リフォームの工数によってリフォームの日数は変わります。

なお、輻射式冷暖房の設置は必要容量の概算を行ったうえでパネルを選定するため、リフォーム前に以下の情報が必要です。

  • ・間取り図
  • ・設計図面
  • ・部屋の面積
  • ・天井高と開口部の広さ、方角

概算見積の作成にも約3~7日かかります。リフォームをする場合には「輻射式冷暖房の設置にかかる日数」と「概算見積りの作成日数」の両方を考慮しておくといいでしょう。

輻射熱を利用した空調設備のリフォーム施工事例

ここからは、輻射熱を利用した空調設備のリフォーム施工事例を紹介していきます。リフォームを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

1:輻射と対流を利用した冷暖房で広いリビングも省エネ

輻射とエアコンの対流を利用した冷暖房装置「エコウィンハイブリッド」と、温水式床暖房を設置しています。壁と天井に断熱効果のある塗料を塗装して省エネ効果を高めているのもポイントです。

事例の詳細:和室からLDKの広い空間へ

2:フローリングは重ね張りで予算を抑えて床暖房を設置

マンションのフローリングに床暖房を導入した事例です。予算や防音を考慮した重ね張りですが、足元はしっかりと暖まります。

事例の詳細:良い環境の中でいい住まいに!マンション全面リフォーム。

3:安全性の高い輻射式暖房で高齢者も安心

輻射熱で室内を暖める「蓄熱式電気暖房器」を導入した事例です。蓄熱式電気暖房器は室内をムラなく暖めるので高齢者や子どもにも優しく、空気を汚す心配もありません。

事例の詳細:父の部屋に快適な暖房を…(蓄熱式電気暖房器設置工事)

4:ガス式の床暖房で長く過ごすリビングも快適にリフォーム

輻射熱効果の高い「LPガス温水循環式床暖房」へのリフォームです。床暖房は低温やけどの心配がなく、ランニングコストが安いというメリットもあります。

事例の詳細:床暖房で人も集まり、心もポカポカ。

輻射熱の暖房器具で寒い冬も快適に過ごそう

輻射式冷暖房は、室内全体をムラなく暖めて冷暖房の効率を高めてくれます。赤外線を受けた物質が放つ熱を使った優しい暖かさも特徴です。

導入には床暖房で約25~100万円、輻射式冷暖房では40万円~の費用が発生しますが、輻射パネルの素材選びやフローリングの重ね張りなどの工夫をすれば、コストを下げることもできます。輻射式冷暖房と他の冷暖房方法を組み合わせれば、冷暖房の立ち上がりが悪いというデメリットのカバーも可能です。

高齢者や子どもがいる家庭でも安心して使うことができますので、今回の記事や導入事例を参考に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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