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ああ、これか。写真を見て思わず心の中で叫んだ人もいるでしょう。左横の写真が犬矢来(いぬやらい)、下段の写真が鹿威し(ししおどし)です。
犬矢来は京都や奈良など町家の建ち並ぶ通りでよく見かけます。家の塀や壁の中ほどからすそにかけて弧を描いて流れるような割竹の美しさが、家の表情や町並みに情趣を添えています。そして鹿威し。これは日本庭園にありますね。コーンと澄んだ音が静寂を破り、しんと静まると妙に哲学的な気分になります。日本に生まれてよかったと思う瞬間です。
まずは犬矢来のお話から始めましょう。突然ですが、「犬走り」ってご存じですか。
犬走りとは、建物の外壁と道路際や溝との間の細長い空間のことです。そう、石張りやコンクリートが打たれた軒下の部分です。これは基礎部分が雨水でうがたれたり、汚れが建物にはね返るのを防ぐもので、人は走れなくても犬なら走るだろうということからついた名です。この犬走りに設置し、犬が近づき放尿するのを防ぐのが、犬矢来なのです。
犬矢来は、その昔は馬の泥はねや牛車の接触による損傷からも壁や塀を守っていました。人が近寄れないようにするのも大切な役割で、泥棒よけはもちろん、軒下に人を立てなくします。だって家の中と公道とが壁一枚隔てただけの町家では、すぐ外に人がいたら落ち着きませんからね。犬矢来は、過密都市にあって敷地境界をやんわりと示し、内と外・私と公とを緩やかに分ける装置なのです。その意匠は写真のようなもの以外にも、割竹や細い桟木をまっすぐ斜めに並べたもの、間隔を広くあけて竹を並べ横桟を渡しただけのものなど実に様々で、町家と町並みの魅力を引き立てる装飾品の役割も果しているのです。
ししおどしの「しし」は獅子ではなくて鹿のこと。これは本来、畑を荒らす鹿や猪を音で威して追い払う農具でした。支点で支えた竹筒に水を引き入れ、溜まる水の重みで竹筒が倒れて水を吐き出すと、その反動で勢いよくもとに戻り、竹筒のおしりが下の石を打つ。これが音を出す仕組みで、風流な音ゆえに庭の景物として採り入れられたのです。
私は鹿威しというとテレビドラマを連想します。例えば、料亭の座敷での緊迫したシーン。水を受けていた竹筒がぐらりと傾いてはね返るアップ。「コーン」と響きわたる澄んだ音。そして次の瞬間、登場人物の緊張した横顔のアップ、なんて具合です。
学生時代、京都のあるお寺の日本庭園に開園と同時に入ったら、まだ準備ができていませんでした。ちょっと待ってね、と係のおじさんが鹿威しのそばの水道の蛇口を開いてくれた時は、興ざめするより笑ってしまいました。心遣いをムダにすまいと、大して見たくもないのにびっくりするほど大きな鹿威しの竹筒に水が溜まり、時が満ちるのをじれじれして待っていた私は、風流心のかけらもありませんでした。有名な京都詩仙堂の鹿威しの音の間隔は二分程だそうですが、そのお寺の日本庭園で私がどれほど待ったかは、今となっては覚えていません。
よく考えたら、犬矢来と鹿威しには共通点があります。まず、動物を寄せ付けない目的を持った実用品でありながら、本来の用途とは別の面----洗練されたデザインや静けさを増す音など----で人の心をひきつけ、装飾品に近づいた点。そして、犬も鹿も、日本人と深い関わりのある動物だという点です。
犬は縄文時代の遺跡などで人と一緒に埋葬された跡が見られ、奈良時代には番犬や猟犬として犬を飼育する役職が設けられるなど、古くから身近な家畜でした。愛玩用として飼われるようになったのは平安時代の貴族社会でのことで、庶民にも犬のペット化が広まったのは平安時代後期のことです。 一方、鹿は神の使いであると信じられていました。有名な奈良公園の鹿は、春日大社が創建された時、鹿島の神が白鹿に乗ってきたという言い伝えから、鹿神として保護されてきたのです。シカせんべいを手にした途端に群れをなして寄ってくる愛くるしくもオソロシイあの鹿たちは、神様だったのですね。
鹿威しの「しし」は鹿のことだとは先に述べましたが、もともと「しし」とは肉のことで、鹿の肉を「かのしし」と言ったことから、のちに鹿そのものを「しし」と言うようになりました。「肉(しし)食った報い」ということわざがありますが、神とされる鹿の肉を食った報いに罰を受けることから、悪事をした当然の報いを意味します。
今回はたったふたつ取り上げたに過ぎませんが、日本建築にまつわる言葉の中には、ほかにも色んな動物が隠れています。調べてみると、きっと面白いですよ。(終)
【参考文献】
『日本民家の造形 ふるさと・すまい・美の継承』(川村善之著・淡交社刊)
『岩波日本庭園辞典』(小野健吉著・岩波書店刊)
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