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(画像提供/YKK AP)
お部屋の断熱性をアップしたい、古くて見た目が悪いのを解消したいなどの理由で、窓のリフォームを検討している人も多いでしょう。そこで本記事では、近年主流となっているアルミ樹脂複合サッシについて、アルミサッシや樹脂サッシとの違い、リフォームで取り入れる場合の方法や費用の目安などを解説します。
目次
アルミ樹脂複合サッシとは、アルミと樹脂の2つの素材が用いられているサッシ(窓枠や障子)のことです。基本的に、室外側がアルミ、室内側が樹脂でつくられています。
アルミ樹脂複合サッシのイメージ(画像提供/YKK AP)
アルミ樹脂複合サッシのガラスには、ガラスとガラスの間に空気の層をもたせた「複層ガラス」か、ガラスの内側(手で触れない空気層側のガラス面)に特殊な金属膜をコーティングした「Low-E複層ガラス」が用いられています。
Low-E複層ガラス(断熱タイプ)のイメージ(画像提供/YKK AP)
日本の住宅の窓は、サッシ部分にアルミが用いられているケースが多いです。ガラスは単板ガラスや複層ガラスなどがありますが、古い住宅はほとんどが単板ガラスです。
しかし、近年の新築住宅では、サッシ部分に樹脂を用いた窓を採用するケースが増えています。ガラスは複層ガラスが多いですが、ガラスが3枚用いられているトリプル複層ガラス仕様を選択している住宅もあります。
「サッシの素材とガラスの種類により、窓の断熱性と価格は大きく変わります。
まず断熱性の違いですが、サッシの素材では、樹脂がアルミの約1400倍断熱性が高くなります。同じガラスを用いた場合、樹脂窓が最も断熱性が高く、次いでアルミ樹脂複合窓、アルミ窓の順となります。
価格は、断熱性に比例して高くなります。当社の製品を戸建住宅1棟に使用した場合の価格差の大まかな目安は、アルミ窓・Low-E複層ガラスを100とすると、アルミ樹脂複合窓・Low-E複層ガラスが120、樹脂窓・Low-E複層ガラスが150、樹脂窓・トリプルLow-Eガラスが220となります」(YKK AP 広報室。以下同)
樹脂窓・トリプルLow-Eガラスのイメージ(画像提供/YKK AP)
アルミ樹脂複合サッシにはいくつかのメリットがありますが、最大のメリットはカラーや種類のバリエーションが豊富なことです。
「アルミ樹脂複合窓は、室内側と室外側の素材に応じて、好みの色を選んで組み合わせることができます。ちなみに、樹脂窓でも色の組み合わせはできますが、色数はアルミ樹脂複合窓よりも少なくなります。また、アルミ窓は室内外同じ色しか選択できません。
窓の種類は、弊社の場合、現時点ではアルミ樹脂複合窓のバリエーションが最も多いです。ただ、弊社は断熱性の高い樹脂窓を推奨しているため、市場のニーズを見極めながら樹脂窓のバリエーションを増やすかを判断していきます」
室内側は温かみのあるインテリアに合わせてナチュラル色に(画像提供/YKK AP)
室外側はカームブラック色で外観デザインを引き締めて(画像提供/YKK AP)
アルミ樹脂複合サッシは、構造の工夫で耐風圧性と水密性を高めることが可能です。大型台風やゲリラ豪雨などの自然災害が増えている近年、特にマンションの高層階の窓をリフォームするときには、これらの性能もチェックして製品を選びたいところです。
さらに、リフォームで窓のサイズを変えたいとき、パネルを利用して納まりよく窓を設置することができます。
「リフォームでシステムバスを交換したり、洗面化粧台を交換したりすると、窓のサイズが変わってしまうケースがあります。従来は仕方なく今までと同じサイズの窓を設置し、開閉がしにくい状態で使うしかありませんでしたが、弊社のアルミ樹脂複合窓なら、断熱パネルと組み合わせることで丁度よいサイズの窓を設置できます」
■洗面台リフォームの例
リフォーム前の洗面台(画像提供/YKK AP)
洗面化粧台を交換したら窓を半分ふさいでしまい、窓の開閉や鍵の操作がしにくくなってしまうケースも(画像提供/YKK AP)
(画像提供/YKK AP)
「マドリモ 断熱窓 戸建用」アルミ樹脂複合窓なら、断熱パネルを利用して窓サイズの調整が可能。丁度よいサイズの窓へ交換できます(画像提供/YKK AP)
アルミ樹脂複合サッシの断熱性は、アルミサッシよりも優れていますが、樹脂サッシと比べると若干劣ります。お住まいの地域や室内外の温度などによっては、サッシ部分に若干の結露が発生することもあるようです。
戸建住宅やマンションの窓をリフォームする方法は、主に3つあります。
今ある窓はそのままで、室内側に新しく窓を設ける方法です。メリットは工事時間が一窓1時間程度と手軽に設置できる点で、デメリットは窓の開閉に2回の手間が必要な点です。
今の窓枠に、新しい窓枠をかぶせ、新しい窓を取り付ける工法です。メリットは壁を壊さずに一窓約半日で工事を行うことができる点で、デメリットは窓が少し小さくなってしまう点です。
外壁をカットして既存の窓を取り外し、新たな窓を取り付ける工法です。メリットは新築用として販売されている窓ならどれにでも交換できる点で、デメリットは工事に騒音や粉塵が発生し、日数がかかる点です。
アルミ樹脂複合サッシは、内窓設置リフォームに対応する製品が少ないため、カバー工法か、カット工法でリフォームするケースが一般的です。
「戸建住宅ではカット工法で窓リフォームをするケースが多かったのですが、外壁を壊す大掛かりな工事で、工期も長くなり生活に影響を及ぼすため、最近ではカバー工法が主流になりつつあります。
マンションでも、管理組合に承認されればカバー工法でリフォームできます。希望される方は管理規約を確認してみるとよいでしょう」
カバー工法で、既存のブラウン色の窓枠に、新しいアルミ樹脂複合サッシを取り付ける例(画像提供/YKK AP)
窓リフォームの費用は、工法と窓のサイズによって変わります。 例えば、カバー工法で、アルミ樹脂複合サッシの窓に交換した場合、一窓当たりの費用は以下が目安となります。
大(幅160~190㎝/高さ190~200㎝) | 中(幅160~190㎝/高さ90~110㎝) | 小(幅70~80㎝/高さ90~110㎝) | |
戸建住宅用 | 約23万~31万円 | 約16万~23万円 | 約14万~20万円 |
マンション用 | 約29万~40万円 | 約21万~30万円 | 約18万~27万円 |
※商品代+工事費の目安。いずれも税込(提供/YKK AP)
(画像/PIXTA)
近年、国は断熱性を高めるリフォームに対して補助金を交付する事業を実施しています。窓リフォームも対象となる事業がいくつかありますが、要件や補助額はさまざまです。
「『子育てエコホーム支援事業』では、アルミ樹脂複合窓へリフォームすると補助金がもらえます。金額はリフォームの方法や窓サイズで変わり、例えばカバー工法で窓を交換する場合、ZEHレベルなら一窓2万2000~3万4000円、省エネ基準レベルなら一窓1万7000~2万5000円です。
世帯属性に関係なく利用できる『先進的窓リノベ事業』は、一窓当たりの補助額が子育てエコホーム支援事業よりも大きいです。ただ、弊社のアルミ樹脂複合窓で引違い窓にしたい場合は、真空トリプルガラスを選択しなければ性能要件に満たないため、補助が受けられません。この事業で補助を受けるなら、樹脂窓を選択する必要があります。
弊社のデータになりますが、『先進的窓リノベ事業』のスタート以降、カバー工法のリフォーム用窓商品において、樹脂窓の占める割合が急激に高くなりました。その理由は、樹脂窓ならほとんどの補助事業を受けられることや、断熱性能が高い分補助金が高く設定されている『先進的窓リノベ事業』を利用できることなどが考えられます」
<もっと詳しく>
子育てエコホーム支援事業
先進的窓リノベ事業
(画像/PIXTA)
リフォームで窓を交換する場合、アルミサッシ、アルミ樹脂複合サッシ、樹脂サッシのいずれかを選択することになります。アルミ樹脂複合サッシは、断熱性はアルミサッシよりも高く樹脂サッシよりは低いですが、価格はアルミサッシよりも高いものの樹脂サッシよりは低いため、性能と価格のバランスを考慮したいときに最適な選択肢といえます。
間取り変更リフォームや設備交換リフォームによって窓のサイズを変えたいとき、アルミ樹脂複合サッシなら、断熱パネルを利用して納まりよく窓を設置できます。さらに、アルミ樹脂複合サッシはカラーバリエーションが豊富なので、インテリアや外観デザインに合わせて室内側・室外側で異なる色を選ぶことができます。
住宅において、窓は熱の出入りが大きい場所です。住まいの快適性をアップするには、断熱性の高い窓へリフォームすることが近道といえます。現在、国は窓リフォームに対するいくつかの補助金事業を実施しています。これらを上手に活用して、お得に快適な住まいを手に入れてください。
■取材協力/YKK AP 広報室
■取材・文/山南アオ
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