自宅から公道に出るには隣家の土地を通らねばなりませんが、隣家の所有者が変わり、通行に文句を言われるようになりました。前所有者とは何も契約していませんが、これまで同様通れるでしょうか。
袋地通行権によって通行できますが、使用料を支払う必要があります。
公道に出るため、隣家を通らねばならないような土地を、袋地と言います。この場合、民法210条1項により、公道までの他人の土地を通ることができます。これが袋地通行権です。隣地間の利用の調整のために認められた権利なので、土地所有者の移動と関係なく通行が認められます。したがって、あなたも従来通り隣地を通って公道に出ることができます。ただし、一筆の土地が分筆され袋地が生じた際は、元の一筆の土地だった隣地しか通行できません(この場合は無償)。
袋地通行権で認められる道幅は、原則として人が歩いて通れる程度の幅と理解されています。ところが、都市計画区域内で建築する場合、建築基準法は建築物の敷地は原則として幅員4m以上の公道に2m以上接していなければならないと定めていますから、2mの幅が認められるかどうかが裁判上争われています。判例も、認めるものと否定するものに分かれ、いまだ確定的になっていません。また、袋地通行権により隣地の通行が認められる場合でも、隣地にとって最も損害の少ない場所を選んで通行しなければなりません。そして、通行する場合には、通行に使用する土地の面積に応じて使用料を支払う必要があります。
袋地(ふくろじ)の通行権