隣地の所有者から、境界について書類に押印してほしいと頼まれ、よく分からないまま印を押してしまいました。押印すると、その境界を認めたことになるのでしょうか。
下記の二つの境界があります。所有地境界については、当事者間の問題なので、慎重に判断してください。
境界争いには、法律的に二つのケースがあります。一つは、土地の地番の境がどこにあるかが争いになっている場合。もう一つは、それぞれの所有権の範囲がどこまでかを争っている場合です。地番の境としての境界は、公法的見地から決められるものなので、当事者間で勝手に範囲を決めたり、変更したりできません。所有権の範囲は、あくまでも私権の対象ですから、当事者間で処分することができます。あなたの押した書面がどちらなのかが問題です。
押印した書面が地番の範囲についてなら、この境界は当事者で左右できないものですから、押印しても境界が決まることにはなりません。所有権の範囲について押印した際ですが、土地の境界が公的に決まっているとしても、具体的にその境界が現実の土地のどこにあたるかが明らかでない場合があります。それを決するには、裁判所に境界確定の訴えを起こさなくてはなりません。そして、この訴訟では、登記所に備えてある公図・現場の境界標の位置・境界をめぐる当事者間の交渉の経緯などあらゆる事情を総合的に考慮して、どこが境界なのかを判断することになります。その際、当事者間で交わされた境界の明示に関する書類があれば、重要な要素となります。したがって、境界の明示に関する書類は、慎重に判断して押印すべきです。
土地の境界