今までの借家権とは違う、貸しやすい定期借家権というものができたということですが、従来とはどのように変わったのでしょうか。
従来のように正当事由を示さなくても、賃貸契約期間が終わると、借主は建物を明け渡さなければなりません。
平成11年12月に定期借家制度の創設を含む「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」という法律が成立し、契約で定めた期限が満了すれば契約が終了するという定期借家権が認められることになりました。この法律は平成12年3月1日に施行されました。
従来の借家権は、契約の期限が来た時点で賃貸人側から契約の解除を申し入れても、賃借人側に「正当事由」がなければ、「法定更新」によって賃貸借契約は法律で更新されてしまいます。しかも、更新された後の賃貸借契約は、期間の定めのないものとなります。「正当事由」は極めて稀にしか認められませんから、結果的にいつまでたっても立ち退きを求めることは困難であるのが実状です。どうしても立ち退いてほしければ、高額の立ち退き料を支払わざるを得えません。したがって、賃貸住宅はあまり広くない回転率の良いものが中心となってきました。このように「正当事由」と「法定更新」が従来の借家権の問題点でした。
そこで、今回成立した定期借家権では、賃貸借契約期間が満了すると契約が更新されず、賃貸借契約が完了することとされました。もちろん「正当事由」は必要ありませんし、「法定更新」もありません。期間が満了すると建物は賃貸人に自動的に明け渡され、立ち退き料などの負担も必要ありません。
定期借家権と借家権
定期借家権と借家権・チャート