私は貸家を1軒所有しています。長年値上げしなかった家賃をそろそろ値上げしたいのですが、どうしたらよいのでしょうか。
取り決めをしていなければ、値上げできます!将来の争いごとを防ぐためにも、配達証明付きの内容証明郵便などの書面で請求すればよいでしょう。
物価や税金の上昇などで契約当時に決めた家賃が、周囲と比較して相当でなくなった場合、貸主は家賃の値上げをいつでも請求できます。賃貸借期間中、値上げを請求できない旨の取り決めをしていると、原則として値上げできません。請求方法は口頭で伝えても有効で、特別の様式は必要ありません。ただ、将来値上げの請求を行ったかどうかが争いになることがあるので、郵便局で扱う配達証明付きの内容証明郵便などの書面で請求されることをお勧めします。但し、請求しただけでは値上げができたことにはならず、借主の同意が必要です。
借主が家賃の値上げに応じない場合、家主は家賃増額の訴えをすぐ裁判所に提起することができず、まず調停の申し立てをせねばなりません。民事調停は、紛争している宅地、建物の所在地を管轄する簡易裁判所、または当事者が合意で決定した地方裁判所か簡裁に、口頭もしくは書面で申し立てます。調停手続きは、相手方が裁判所に出頭して話し合いに応じなければ、進めることはできません。しかし、話し合いを始めても調停が成立する見込みがない場合、調停委員が定めた調停条項に両当事者を服させ、事件の早期解決を図る制度が、民事調停法の改正で認められました。ただ、これは当事者双方が調停事項に服するという書面の合意がある時のみ適用され、ない場合は訴えを提起して家賃増額の適否や値上げ額を判断してもらいます。
値上げ通知